月乃抄
作者: yoi   2008年05月15日(木) 17時42分56秒公開   ID:QGsO1NMPKs.
「あなたは月臣海斗じゃない。」
真っ直ぐなこの女の目。
彼女は笑っているのに少しだけ、少しだけ震えていた、そんな彼女を見て俺は...。

「ばっかじゃねーの?」

知らんわ、むしろ教えて欲しいのはこっちだ。初対面の相手に言われたくない

「やっぱり!!月臣君は!そんなこと言わない!!」

「あんたさー。ぶっちゃけ誰なわけ?全然覚えてないんだけど...。」

彼女はショックを受けたような顔になると少し赤面し、後ろを向いた

「あんたに!覚えれなくてもいい!!偽者!!」

俺はなんとなくカッとし後ろのロッカーボックスに蹴りをいれようとしたその時、

「ハイハイー。月臣ー。やめよーね。」

俺は頭をグッと持ち上げられた。
すげぇ、力なんですけど...。。。
「月臣ー、お前は確か真っ当な演劇同好会副部長だったはずだけどー?」

俺はバシっと投げつけられた。

投げつけられたと同時に俺は声でこの人のことを思い出した。この乱暴な力。
そして、このやる気のなさそうな声で

「神宮時先生....。」

「ピンポーンよく思い出したねー。」

先生が頭を撫でる、その手が痛かった...。

「しっかしまー。本当に前も今も仲いいねー、お二人。」

「先生、余計なことは言わないでください。不愉快です。」
先生のご好意で保健室に連れいってもらえた...。
体全身が痛い...。

「良かったなー、手加減したつもりはないが、捻挫にはなってないなー。」

先生、今、舌打ちしませんでした・・・?

「先生!!こんな人に治療なんて必要ありませんから!!」

「椎名、そういうなってさー。」

「だって、月臣君は死んだはずです!!絶対に」

死んだ?俺が?・・・どうして?
「保証はあるの?」

「はい、だってだって...。あの角度から落ちたら絶対に月臣君は...。」

そう、病院でも言われた。生きていたことは奇跡だと。
「それに、頭から落ちたのに全然顔にも後が残らないし!それに..。この人は...。月臣君じゃない」

「わかったよ。お前なりに調べたんだよな...。月臣のこと好きだったから。」

え?

「えぇぇぇぇ!?」

ドガッ

「月臣ー、保健室だぞー。」

だからって足で...イヤ、そんなことどうでもいい!!

「嘘だろ??」
やっぱい、痛いのやだから小さい声で喋る。

「本当だよ。」
イヤ、真顔で言うなって。駄目だよ、こんな男好きになっちゃ!!

「でも、それはあなたじゃない!!あたしはあたしなりに見つけるつもりだから!!」

女ってのはよくわからないな。本当に。
「わかんねえよなぁ。」
「そうですね。先生。」
「イヤ、そっちじゃない。」

え?と振り向くと、

「てめーはてめーだよ。今も昔も。おまえは変わってねー。」

胸からタバコを出そうとする、
けど、保険医に睨まれ外に出て行く。

本当によくわかんねぇ!!!!

俺はこのままで言いと思った。
これが一番丁度いいから、それが「月臣海斗」じゃなくても
それでいい思ったから。

なんとなく、俺は部室に出かけた。
あの女は、汗かきながら踊っていた。

「何、それ?」

「今度、コンクールなの、偽者さん。」

「一人で?」

「煩いなぁ!そこに座っててよ!」

「ハイハイ。」
彼女は休まずに完璧なダンスを披露した。拍手をしそうになるぐらい綺麗な。
いや、プライド的にしないけどね。

「あんたさ、名前なんて言うの?」

「なんで、あんたに言わなくちゃいけないの?」

「・・・いいよ、もう。」

「椎名飛鳥」

「なんか、芸人っぽいな名前。」

「煩い!!」

俺にクッションを投げてくる。鉛でも入ってるのかこれ。

「あんたはこれでいいの?」

「へ?」

「あたしは戻って欲しい。」

「・・・俺はさぁ...。」

「ね!!協力しようよ!!」

「はぁ?」

彼女はかなり嬉しそうに俺の手を取る。

「そうだよ!!あなたもそうしたほうがいいでしょ?
あたしと一緒に!!」

「え、あ、その...。」

「約束ね!!」

高速の指きりだった...。

先生は何食わぬ顔で俺達を楽しそうに見ていた。


今日の日記、
椎名飛鳥に巻き込まれる以上。
■作者からのメッセージ
第5回目です!!
毎回言ってますね^^今回はあんまり笑えないかもしれませんね...。
次回は盛り上げます!!

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