月乃抄 |
作者: yoi 2008年05月19日(月) 16時20分43秒公開 ID:QGsO1NMPKs. |
「彼が書く絵はいっつも真っ白で統一されていた。 雪。雲。水しぶき。私はいつもその絵に引かれていた。 そして、彼の物語が始まる。」 「ロマンチスト....だな。」 彼女の想いを込めて発した美声のコメントだった。 バキッ 「悪い!?悪いの!?」 女の子がグーで殴っちゃいけませーん!! 「んー。一応、お前が書いた作品なんだけどなー。」 作品?これが?ロマンチストが!? 「昔の俺。本当は駄目駄目だったんじゃ。。ぐぇ」 「悪くゆうな!月臣君を!!」 「じゃあ月臣君の顔を叩くなよ!」 「いいの!!あんたは偽者だから!!」 人として最低だぁ!!! 「この物語はね。月臣君が1年も書きつづけた話しなんだから!!」 「1年もこんなロマンチストに生きてたのか。ばっかじゃねーの?月臣君。」 ペチン×20倍 「やっぱり、月臣君じゃない!!あんたはやっぱり違う!! だから、千里さんは...。」 神宮寺先生は咄嗟に飛鳥の口を封じる。 「椎名。言わなくても良いことまで言ってる。」 「もぅがもぅが!!」 「月臣。暫くあっちの部屋で台本を読んでナサイ。」 あっちの部屋って...。押し入れですか? 狭い個室で俺はライトをもって台本を見ていた。 この話は高校生には似合わないような話で大人びてると言ってもいいだろう。 これが月臣なんだろうか。 主人公の名前は「アサト」と言う少年から始まる。 彼は絵を書いていた。何人もの人がアサトの絵を誉めた。 アサトは何十枚の絵を3日で書き上げるなど天才になった。 「この絵には心が入ってない。」 ある日、偉い先生が現れたときアサトの絵を見て言った。 アサトは絶望した。 「自分は天才だ。自分は天才だ。」 そう思いつづけてきたアサトにとって残酷な言葉になった。 ある日、絵の練習をしてるときに現れたのが。 「千里」 頭ががんがんする。 やっぱり、月臣海斗が一年に渡って書いた作品だからだろうか。 ロマンチストと言うよりも最後は・・・。 「月臣。」 ガラッと神宮寺先生が押入れを空けた。 「いや、別にそこじゃなくても良かったんだけどね。すまんね。」 「はい...。眼が痛いですね。」 「でもまぁ。」 ガシッ 「ロマンチストでもまー。お前が書いた作品なんだから。ちゃーんと最後までやれよ?」 「・・・はい。」 「そか。配役はもう決まってるから。」 「配役って...。この劇、5人ぐらいでますよ? しかも、夏コンってもうすぐじゃないですか?これは辞めたほうがいいんじゃないんですか?」 「んー。あー。ちゃんといるから細かいところは説明したくないな。」 先生の睨みは怖い。 「『アサト』月臣。『天使』柊。後はまー印象のないキャラだから 本人に言っとく。監督は。椎名。」 「先生!!」 振り向かず、煙草に火を付けようとライターを探している。 「ん?」 「柊さん...。全然部活来てないじゃないですか...。 しかも、今の月臣君じゃだめです!!絶対に。」 「大丈夫大丈夫。」 やっと、ライターを見つけると嬉しそうに火をつけた。 「あたしは!!もっと良い人が居ると思うんです...。」 「じゃあ、お前が天使やるか?」 「・・・」 「決定だな。」 あれ。なんで俺反論しないんだろう。 今、気づく。なんとなくだ。なんとなく。胸がうずうずしてる。めっちゃ嬉しそうに 飛び跳ねたいぐらいだ。 ・・・・・・。 ・・・・・・・。 「柊って誰ですか...?」 「あれ?会ったこと無かったけ?」 「んー。聞いてもわかんないんじゃない?言ってもめんどくさいしね。」 そうですねー。とキャハハと笑う。 いや、ひでーよ...。 「2人。ちゃんと明日言って来い。俺は「幽霊部員」漁りをしてくるから。」 その時、その意味がわかっていなかった。みたいな。 「あ。飯食ってく?」 その飯はどんなものよりも不味かったそうだ。(いや、不味かった...。) |
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