月乃抄
作者: 白夜   2008年05月24日(土) 21時31分03秒公開   ID:QGsO1NMPKs.
「待った??」

「今来たとこさ(キラーン)」

って感じに初デートってやつは進んでいくと思ってた。

月臣海斗のこと自体はよくわからないが、
俺にとっては初デートで、ドキドキわくわくを味わう前に
過ぎ去ってしまっただろう。

ドキドキとわくわくを。


「キャハハハハ!!」

さっきまでドキッとしてた女の子がこんな風に笑ってたら誰だってため息を漏らす
けど、俺と言うのはいつひっぱ叩かれるのかびくびくして溜息を漏らせずにじっとしてた。

映画の音はもっと大きく流して欲しい。

「でさ、なんで貸切なの?」

観客が居ない。と言うよりもこの女が、

「煩いのイヤだから貸切ね。」

煩いのはお前だ!!

映画が終り周りが明るくなる。

じーっと座るのは本当に疲れる。若干、伸びをして立ち上がる。

「次は、ドラ○もん」

高校生の青春ってのはドラ○もんでいいんだろうか。

「見て!!猫型ロボット!!」

驚くな!!


13時30分。

その日に上演してる映画をすべてみると、
やっと開放...。
されはしなかった。

「映画記念!!映画記念!!」

プリクラ。初デートにプリクラ。はいはい、いいですねー。

「ねえ、なんで、こんなに撮るのさ...。」

いい加減腹が減る。

「いいの。煩いから黙ってて。」

「ハイっ・・・。」

月臣君に同情してきた。


「あたしと居ても楽しくない?」

6台目のプリクラを撮ると、なきそうな顔で俺に告げた。

「いや、別に...。」

「めんどくさいよね...。」

「いや!!そんなことは!!」

「優柔不断な男は嫌い!!」

いや、酷いって!!それは酷いって!

「あたし、楽しみにしてたんだよ?」

「楽しみ?」

「約束したから。」

「え?」

「約束したんだ。」

今の顔すごい可愛い!!頬赤らめてな!

え?頬赤らめて?何!?何なの!?

「約束したでしょ!!いくよ!!」

「え・・・ちょ・・あ・・・!!!」


俺の人生はこれからである。
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