カミサマの唄
作者: Miki   2008年06月15日(日) 12時48分38秒公開   ID:QGsO1NMPKs.
白い鼠は
毛の色と違う、
腐った目をしていた。

僕は自分の目を鏡で覗いた。
やっぱり、僕も穢れていた。


「♪〜町外れの〜ゲホッ」

「古川さん!!まぁった!!」

彼女は水を一気に飲むと、

「はぁー。じゃあ、次の曲いこッ!」

スリッパで殴られる。

コンコン


真っ白い部屋に響く、

「華南。」

華南は嬉しそうに、僕をいや、お見舞いのメロンを見ていた。

「どうしたの??あ!私のリサイタルでもきく〜ぅ?」

「古川さんッッ!!」

「ハハッ歌は控えたほうがいいって言っただろ?」

お見舞いのメロンを病室に置く。
「でも、あたしの唄は天使の唄だよ?」

この子は...と言う眼で俺は少女の手を握る。
「君は人間だ。ちゃんとした。だから、いつか死んじゃうか...も!って!!」

彼女は俺を気にせずに唄い始めた。

その唄はまるで・・・・
「まるで、音痴だな。華南。」

彼女は気づいていない。


彼女が暮らすこの町は白をメインとされたシンプルな町だった。

きっと、他の町と比べたら天と地の差・・いや、
地獄とも言えるだろう。

そのくらい、この町は豊かだった。

華南...。この少女はこの町でも上位に君臨するほど金持ちだった。

母親は政治家をやっていた。

父親はよく憶えてないが死んだと言う情報がある。

華南は病弱な癖に唄が好きだった。
もう、14になると言うのに天使の唄だの言うような不思議な少女だった。

でも、天使と言われてもしょうがない容姿を持っていた。

「ねぇねぇ!!伯父ちゃん!!」

「ん・・・?あー?何?」

「まったボーッとして!!だから、年寄りはぁー。」

「同じ14だろ!!俺は!」

「何?」

「もー!!良いんだよ!!」

その日の午後普通に過ごした。

窓から見える、地獄と呼ばれる町。この真っ白な町とはえらく違った、

ごみのような町。

「あたし!!あの町に行ってみたいなぁー。」

ゴミ置き場に指をさす。

「なんで?」

「だってね!あそこは・・・・。」

言い掛けた、言い掛けた。

【じゃあさ。連れってってあげるよ】

俺は忘れない。絶対に。

あの悪魔に連れて行かれた天使の顔を...。
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