愛を伝える方法は |
作者: 神田 凪 2008年07月22日(火) 11時17分24秒公開 ID:Fpk3UqE6X6I |
「 あいしてるぅーーーーー!! 」 上を見れば広がる大空。 そよそよと気持ちのいい風。ああ、良い天気だな、なんて今更ながらの感想。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 よし。状況を確認しよう。 ここはどこだ? 学校の屋上だ。よしよし、次は・・・。 今は何の時間だ? 授業中だ。不本意ながらサボってしまった。 なぜ俺はここにいる? 目の前のこいつに呼ばれたからだ。 目の前のこいつは誰だ? 俺の親友だ。 そして、これが重要だ。 こいつは今何をした? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 目の前の親友は、くるりとこちらを向いた。 「俺はミサちゃんへの愛の告白を叫ぼうかと思うんだ!!」 「もう叫んでんじゃねーかっ!!」 素速いツッコミに俺は自分の反射神経の高さにビックリした。 「これは練習だ。今日はミサちゃんは風邪で学校を休んでるからな。じゃ、もう一回・・・」 そう言って親友は体の向きを変え、大きく息を吸い込み、何故かあるメガホンを口の所に持っていき・・・ 「 あいっしてっるーーーーー!! 」 もう一回叫んだ。 しばらくの間、呆然と立っていた俺だが、途中だった状況の確認で恐ろしいことに気付いてしまった。 1、俺はこの親友の告白の練習に何故か付き合っている。(別に俺、いなくてもよくね?) 2、俺はこいつに呼ばれた。(しかも、廊下から「屋上に来てくれ」と大声で) 3、俺の周りには誰もいない(授業中だし、屋上だし、当たり前) 4、この叫び声は、もちろん授業中の皆さんにも届いているだろう ということは。 状況の分からない皆さんから見たら、親友が愛の告白をしているのは・・・・・・・・・。 「ちょっっっっっっ!! 今すぐ叫ぶのを止めろ!!」 「何だよ〜親友。邪魔すんなよー」 「いやいやいや、このままだと俺は学校にいられなくなるから!」 「何、意味分かんないこと言ってるの? え、もしかして一緒に叫びたいの? じゃ、せーの、 あいしてるーーー!! 」 「やーめーてー!! せめて叫ぶなら主語を入れてくれ!」 この時の努力虚しく、俺は何故か親友と公認のカップルと学校中に知れ渡ったのだった。 だが、当の本人はそんな噂を知りよしもなく、 「なぁ、何か担任に《世間の目は冷たいかもしれないが、大丈夫俺はお前らの味方だ。》って言われたんだけど何だと思う?」 「・・・・・・知らねぇ」 もうどうにでもなりやがれっ!! 高校一年生の夏。早くもグレることにしました。 |
|
■一覧に戻る ■感想を見る ■削除・編集 |