夢と残骸、そして現実 T |
作者: 神凪由華 [Home] 2008年08月03日(日) 09時14分32秒公開 ID:J815t/uVAkQ |
「・・・・今日から・・・俺は・・・・・。」 銀髪の、さらさらとした少し長めの髪に、蒼い・・・魔晄を浴びた、瞳。 魔晄に瞳。それは・・・人間の力より遥かに高い能力を持つ、ソルジャー【戦士】の証。 彼等は、今この世界一大きく、そして恐ろしい会社『神羅』での特殊手術によってこの人間離れした能力を手に入れる。 ソルジャーは、神羅の糧となり、戦う存在。 人間では無い、きっと別の何か・・・ 「(・・・・それでも、俺は・・・・ソルジャーを目指した。 そして、いつかなるんだ・・・・俺も・・・英雄に・・・・。)」 今は、まだソルジャーになりたての、クラス2ndだけど。 いつか、そう。いつか1stになる。 そして・・・・ そう、思いに浸っている時だった。 ざわ・・・・ざわ、と声がする。 その方を振り向けば・・・・そこに、いた。 『英雄』が。 「・・・・・。」 銀髪の、長く綺麗な髪に、ソルジャーでは異質の翡翠色の瞳。 彼は、『セフィロス』 幾多の戦争で、鬼神の如く力を見せ、『最強』と称されるソルジャー。 そして、ソルジャー希望の『憧れ』の存在。 目の前を通る彼に・・・俺は、その姿、立ち振る舞いに見惚れると同時に そこから出る威圧感に呑まれた。 「(初めて直に見るな・・・これが・・・セフィロス・・・)」 雑誌などとは比べ物にならないその感じ。 俺は、震えた。 超えたい壁、憧れの存在・・・―――――― そんな、空気の中。 一人の・・・2ndが、セフィロスを追った。 「セフィロス!ちょ、待ってくれよっ・・・つか書類っ!!」 「(・・・誰だ・・・??)」 セフィロスに、明るく話しかける、大量の書類をもった黒髪の男。 周囲は、セフィロスに話しかけることさえままならないと言うのに この男は、気軽に話す。 「・・お前が持つと言ったんだろう。俺は知らん。」 「ってもよ、こんな量の書類とは聞いてねえよっ!」 すると、あの冷酷、そして表情をあまり顔に出すイメージの無いセフィロスが ・・・・笑った。 「仕方がない。・・・半分持とう。」 「それでも、半分持たせるのかよ・・・・。」 仲が良さそうな、二人。 ・・・何だ、あいつは・・・?? あのセフィロスと、話、笑い、対等に付き合える。 俺は、それだけで・・・それだけで、あの男が凄いと思った。 そして、同時に羨ましいと感じた。 誰もが恐れ、憧れる英雄と、あんなに気さくに話す事が出来る・・・・ 「(俺も、話してみたい・・・・・。)」 が、そんな夢みたいなこと、今の俺では叶う筈もない。 ソルジャーになれたの事でもう十分色々と運をつかっているだろう? 神様はそんなにチャンスをくれないだろう? だから、今は一刻も早く、昇格・・・1stにならなくては。 ・・・そしたら、俺もあの人と話せるかな? かすかな夢を胸の中に持ち、俺はまた思いにふけるのだった・・・・ |
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