こうなるとは思わなかった…
作者: 神威   2008年10月16日(木) 22時00分13秒公開   ID:yd6qYlfvTyg
どうも、女子サッカー部キャプテンの小島有希です。

はっきり言って、予想外でした。

何が予想外って?

それは……。

「先輩、今日もお弁当作って来ました!」

「わぁっ!本当に?ありがとう!」

日曜日の午前練習後、昼休憩に入った途端こんなトークをしている風祭将と桜井みゆきちゃんが…です。

みゆきちゃんが風祭に恋をしているのは、周囲は知っていた。

しかしそれを本人が気づいていない、という鈍感っぷりを発揮してくれた。

ならば積極的にアピール…と言っても彼女の性格上、思い切ったアプローチは中々できないわけで…。

そこで男子サッカー部(杉太除く)に協力してもらい、見事に2人をくっ付けることに成功!

そこまではよかった…そこまでは…。

「うん、今日もおいしいよ、みゆきちゃん」

「本当ですか?ありがとうございます!」

「でも、みゆきちゃんが食べさせてくれたもっとおいしいだろうな〜」

まさか、この2人がここまでバカップルぶりを見せてくれるとは思わなかった。

はっきり言って私だけでなく、水野や佐藤も予想外だったらしい。

私達がいるというのに、寄り添って弁当を食べさせあっている2人……頼むから状況を自覚して欲しい。

練習中や小休止ではこんなことないのに…ひとたび昼休憩や帰りになった途端にベタベタくっ付く2人…。

「おい、また杉太が箸をへし折ったぞ〜」

「誰かそこらのコンビニから割り箸貰って来いよ」

「いっそドン○ホーテで大量に買って来るか?」

と言っている間に、どうやら被害が出たもようね。

今月に入って杉太は既に、箸を8組も折っている。

今度からお昼の弁当はおにぎりみたいに、箸を使わなくていい物を勧めるわ…。

「なぁ…本当にくっ付けてよかったのか?あの2人」

「…さぁ……」

隣で食事をする水野にそう言われると、発案者の私としてはちょっと気まずい…。

本人達はあんなに幸せそうなのに…。

それなのに私どころか、2人の雰囲気に男女両チームとも空気が重い。

そんな中で佐藤は2人を「新婚さん」とか言ってからかっている。

というかあんな状態の2人に普段通りに接することのできる、あいつがちょっと羨ましい。

「どうするべきかなぁ…あの2人…」

「どうするって…別に練習中やミーティング中ってわけじゃないからな…。注意するのに迷うところだな」

「なのよねぇ〜…」

ため息をつきながら、視線を例の2人に戻す。

2人のうふふ、あはは、な空気のお陰でその周辺だけ花畑に見えるのは目の錯覚ね…。

「ところでみゆきちゃん。練習終わったら今日は家に来る?」

…はい?

ちょっと風祭、あなた今何て言ったの?

「はい、勿論!親には既に伝えていますから!!」

って、みゆきちゃんもそんなナチュラルに返さないでよ!

そもそも練習終わったらって、何時だと思っているの!

まさか夕飯を作りに行くとか言うんじゃ…。

「楽しみだなぁ〜、みゆきちゃんの手作り夕ご飯♪」

当たったー!!

「で、その後は…ね?」

ね?って何よ風祭、何でそこだけ小声で耳打ちするのよ。

「は、はい…///」

そしてみゆきちゃんはどうして頬を染めて俯くのよ〜!!

何?まさかこの2人、まだ中学生なのにまさか…。

「おっ?なんやポチ、今日のデザートはみゆきちゃんかぁ〜?」

ど真ん中ストレートォ!!

佐藤、何であんたはそういうことを簡単に口にできるのよぉ!!

「えっ…えぇ、まぁ…///」

って、風祭も肯定しないでよ〜!

ほらっ、他のメンバーも顔真っ赤にして箸が止まっているじゃない…ってツッコミ処違う!

「落ち着け、小島」

あぁ、水野…やっぱあんたはこんなとき頼りに…。

「ちゃんと避妊はしているんだろうな?リアルに14…いや、13歳の母なんてシャレにならないぞ」

ならない〜!!

ダメだ、水野もどこか壊れた。

私が、私が何とかしないと…。

「勿論だよ、水野君。功兄に避妊具の買い置き頼んであるから、バッチリだよ」

お兄さんもグルですか!!

どうして止めないのよ、未成年なのよ2人はぁ!

みゆきちゃんも何か言いなさい!

「でも…私は先輩との子供なら、13歳だろうが14歳だろうが、母親になっても構いません!」

全然良くない!!

本人達が良くても親は承諾しないわよ。

というか世間的にも倫理的にもダメよ、それはぁ!!

「みゆきちゃん…///」

「先輩…///」

そこで感動して見詰め合うなぁ!!

あなた達は今、自分達が何を言っていたのか分かってんのぉ!!

「ポチ。練習に響かんよう、程ほどにしときぃ」

佐藤、そんな注意以前の問題よ!

「……風祭に先を越されるとはな…」

水野も何言ってるのよ!!

そんなに卒業したいなら、ファンの子にでも頼みなさい!!

「おい、サンタ!しっかりしろ!!」

「ダメだ、意識不明だ!!」

「森長、携帯で救急車呼べ!!」

「高井は職員室から先生とコーチ呼んでこい!!」

っと…こんなことしている間に向こうは大騒ぎね…。

杉太、骨は拾ってあげるから迷わず成仏しなさい。

この場合、死んだらショック死かしら、一応。

ショック死も色々あるのね…。

さて、女子メンバーは…皆フリーズしていて行動不能ね…。

佐藤は相変らず2人をからかっているし、水野も何か黄昏てるし…。

本人達は何事もないように、お弁当食べさせあっているし…。

先生、コーチ、早く来て。

私だけではこの状況、治められそうにありません。

だって…この2人をくっ付けて…こうなるとは思わなかったんだもん!

「先輩、あ〜ん♪」

「あ〜ん」

いい加減にして!!

END
■作者からのメッセージ
初めまして、神威と申します。
今回、ホイッスルでギャグ小説を投稿させて頂きました。
初投稿がこんなで、何かすいません…。
まぁ…楽しんでもらえれば光栄です。

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