Ferris wheel |
作者: 一夜 2008年10月18日(土) 17時36分05秒公開 ID:5EwBxlXyk0. |
「…綺麗だね。」 僕の目の前にいる君は、ぼんやりと夕日を眺めながら小さな声で呟いた。 僕と君しかいない空間に、その声がはっきりと響いた。 初めてのデート。何年ぶりかの遊園地。夕日に染まる観覧車。 そこから見た景色は…今日という日の終わりを告げているかのように見えた。 幼い時の僕は、観覧車というものが何故あるのかがわからなかった。 初めて家族と遊園地に来た時、乗ったけど…ちっとも楽しくなかった。 僕はジェットコースターとか、わくわくする乗り物しか目に入らなかった。 だけど、今なら何故観覧車があるのかわかるような気がする。 恋人同士が2人っきりの空間で、この綺麗な空を横切るためだろう。 きっと…―――。 「そうだね。」 なんて、言いながら。 僕たちを乗せた観覧車はゆっくりと、オレンジ色の空を横切った。 END |
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