不思議の国の不思議なお茶会 |
作者: クロノス 2008年12月28日(日) 20時56分56秒公開 ID:obZo2wm8mmE |
白いウサギを追いかけて、 アリスは不思議の国へ。 追って追われたアリスの不思議の国は、 アリスの夢。 中央揃えの文 お茶会の招待状が届いたのは、その日の朝のことだった。 不思議の国の住人たちからは『アリス』と呼ばれているのは、 可愛い女の子 ・・・・・・・・・ではなくて、 可愛く格好いい 二人の男の子でした。 「アリス、紅茶は何がいい?」 太陽のように鮮やかな緋色の髪に黒いシルクハットを被った少年が、 突っ立ったままその光景に固まっている少年に話しかけた。 銀色の短い髪に、緑の瞳。 女の子にも見える顔立ちの少年の名は、 タイム・レルナード・アリス。 アリスとして不思議の国にきた少年のうちの一人である。 「ディルフ・・・・・・僕、帰りたい」 タイムに呼ばれた少年は、周りの様子など気にした風もなく、 眠そうに目を擦っている。 襟足が長い漆黒の髪に、青灰色の瞳。 造作は平凡だが、一度目が合えば忘れられない雰囲気をもつ少年は、 ディルフ・クローモネ・アリス。 タイムと同じ、アリスだった。 「ディルフ、一緒に飲もう」 紫のボーダーを着た変な青年がディルフに近づいてきた。 服よりも濃い紫色の髪からは黒い猫の耳が生えている。 シッポもある。 瞳は、満月のように輝く金色。 彼はチェシャ猫だった。 タイムに話し掛けてきた少年は、帽子屋である。 他にも、二人の前にあるテーブルを囲むようにして、 ハンプティ・ダンプティ 三月ウサギ 眠りネズミ 白ウサギ トランプ兵 トウィードルダム&トウィードルディー がお茶会をしている。 「タイム、僕と一緒にケーキ食べようよ」 白髪に白いウサギの耳と真っ赤な目の少年、 白ウサギがタイムの手を引く。 「アリスは僕と一緒にお茶を飲むんだよ」 負けじと帽子屋が反対側の手を引いた。 少しはなれた場所では、 「ディルフ、寂しかったにゃ〜」 ディルフの首に腕を巻きつけのしかかるようにして、 チェシャ猫が甘えていた。 「「あ〜〜〜っ、ずるいぞチェシャ猫ォ〜」」 栗色の髪と栗色の瞳。 まったく同じ顔をした二人が、声をそろえてチェシャ猫を睨んだ。 「騒がしいね」 静かにお茶を飲んでいるのは、トランプ兵の三人、 2番、5番、7番だ。 その横では、眠りネズミが自前の枕に顔をうずめて眠っている。 「タイム、腕痛そうだね」 「わかってるんだったら助けてよう〜」 左右から腕を引かれるタイムを、いつのまにかテーブルについていたディルフが、 面白そうに眺めている。 「助けたくても、コレがいるからねぇ」 そう言って指差したのは、自分の首。 に巻きついているチェシャ猫の腕。 「白のアリス殿は、可愛らしい方ですもの」 ディルフの横にいたハンプティ・ダンプティが、 クスクスと笑いながら、同じようにその光景を眺めている。 「ディルフ、俺をかまってよぅ」 チェシャ猫が涙目で泣くので、ディルフは溜息を一つこぼすと、 その頭を優しく撫でてやった。 「ずるい、僕も僕も」 三月ウサギが抱きついてきたので、 ディルフはそちらの頭も優しく撫でた。 コレが、お茶会の日常。 不思議の国の、 特別なお茶会。 大好きな人に会える、 ほんの少しの時間。 END |
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