少女は嘘上手の死神に魅かれた*少女の目線* |
作者: 零 2009年02月25日(水) 15時58分50秒公開 ID:NqbpUpPD62U |
私は 私が通っている中学校に転入生が来る事になった。 ガラッと何時もどおり教室のドアを開ける。 そこには親友の 「あ、由華」 「おはよう、沙希!今日は転入生が来る日だねっ!」 「あー・・・うん」 「ノリ悪いなぁー・・・美人だよっ?」 由華はこういう事には敏感で情報も早かった。 逆に私は転入生など眼中になく、興味がなかった。 「な、 彼女が挨拶した時、息を呑んだ。 嗚呼、何て素敵なんだろう。 少しくせがついた茶色い髪に青空を思わせる蒼の瞳。 まるで妖精の様、と私はうっとりしていた。 「沙希ぃーっ!ジュース買って来て!」 お願いっと手を合わせる彼女に私はいいよ、と返した。 「ありがとうっ!」 その答えに千歳はにこっと笑う。あぁ、可愛いなぁ。 ポケットに入れておいた財布に手を伸ばし、自動販売機にいれる。 購買にもジュースはあるのだが、うちのクラスには遠いので此方の方が効率がいいのだ。 千歳が頼んだ炭酸飲料を手に抱え、教室まで走った。 ガラッ! 教室の中には何もない。言葉通り何もないのだ。人もいない。 「え・・・・・・」 「沙希?どうかしたのぉ?」 くすっと笑い、血のついた大鎌を持った千歳。 「ち、とせ?」 「うん」 もしかして千歳が・・・?否、そんな事あるはずない。 「千歳・・・」 「なぁに?」 「み、皆は・・・?」 「クラスの皆?皆は 殺しちゃった」 こ、殺した・・・? 「じょ、冗談やめてよ。これドッキリ?」 「冗談じゃ、ないよ」 ざぁっと風が吹く。千歳の蒼い眼が此方をじっと見つめていて、冷や汗が出た。 じゃあ、何の関係もない由華も?どうしてよ、ちょ、え、何もう。 これは夢?頬っぺた抓っても痛いだけ。うそ・・・嘘でしょ、ねぇ。嘘なんでしょ。 カツ・・・と千歳が此方に歩み寄って来る。 私も・・・私も殺されちゃうのかな?由華や、みんなみたいに。 でも、いいや。 貴方には殺されてもいい。苦うしい程焦がれた、貴方には。 ザシュッ! 紅い 紅い 血が舞う。 何だか急に全体の力が抜けて私はそっと眼を閉じた。 「楽しかったよ。沙希」 ボンヤリとした意識の中で見えたのは貴方の声と満面の笑顔。 少女は嘘上手の死神に魅かれた*少女の目線* (貴方がほしかった) (それこそ騙されてても) |
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