君と僕の傷痕。V
作者: ゜.+エル+.゜   2009年03月26日(木) 21時41分19秒公開   ID:ArjuLwJu9oE
 








ふっ、と眼が覚め、カレンは辺りを見回す。




むせ返る香水の香りが籠もる部屋、大きな化粧台。
目の前にある大きな鏡に、自分の姿が映っている。




見たことも、ない部屋…









「あら、やっと起きたのね」



すらっとした美しい女性が其処に居た。

「……?」
訳も分からずカレンは黙る。



「さ、さっさと着替えなさいな。
 時間がないの」

面倒そうにカレンに着替えを渡す。




「あなたは…あの、どなたですか...」


カレンが控えめに口を開く...  が。


「何?貴女。何もわかってないの?」



すると其処へ、一人の少年が入ってきた。


「あら、ロビン。この子のこと、知ってる?」

「マダム、この子は例の貴族様じゃないですか?」

「あぁ、あのアネリアのパトロンのね。
 何もわかってないみたいで困ってたのよ。」

「そりゃあ、令嬢が娼館のこと知ってるわけありませんよ」



カレンは、訳が分からず二人を交互に見る。
すると、マダムと呼ばれた女性がカレンに目をやる。





「ねぇ…貴女。何故貴女はこんなところにいると思う?」





「え…?」





どうして...だろう

昨日は大きくて和やかな屋敷にいて、
優しい父と美しい母。  いつも一緒にいてくれた...アネリア









夜になって...父が母を―――――


















「貴女のママは、うちのアネリアに溺れた貴女のパパに殺されたの」







「そしてあなたは...
           捨てられたの」












「え…………?」












涙を流し始めるカレンに構わず、マダムは続ける。



「あなたは捨てられ、売られた。この娼館に。
 そして娼婦になるのよ。

 貴女のパパみたいな肉欲の塊の男たちに体を売って、
 金稼ぎをする仕事よ。」



「...ちょっと言い過ぎですよ...僕も男です」
少しあきれたようにロビンが口を挟む。


「あぁ、それから貴女は本名だとマズイから
 今日から貴女の名前は ”ララ”よ」






「ロビン、」



「はい?何か?」





「この子のお相手頼むわ。」
















「―――――かしこまりました」
















・・・夜が始まる


 


 










■作者からのメッセージ
つづきます。きっと。

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