不幸天使の奏でる旋律 協奏曲第2楽章 |
作者: なぁび 2009年05月01日(金) 21時58分03秒公開 ID:dR1CU5e8OHo |
「―…そうなんだ。澪姉さん、転校したってこの学校だったんだね」 あれから場所は移ってここは屋上。春のポカポカ陽気が気持ちよくて眠くなりそう…なんでこう春の陽気って意地悪なのかな? 「えぇ、そうよ。しかしびっくり。奏も同じ学校に?どうしたの?」 「え、あ、あぁ…ちょっと親戚の都合?だよ」 さ、さすがに私はエンジェルで、派遣されてきました、とは言っても通じないか…て、いうか言ったらダメだよな、怒られそうだし。 「そういえばみきひーは?」 なんか変に口ごもっちゃって、怪しまれそうだから話題を変えた。 みきひーって、幼馴染。本名は 「あぁ、幹、ね、この学校にいるけど」 「え、うそっ?!みきひーいるの?!」 澪姉さんの口から出た意外?な一言に眠気も一気に吹っ飛んだ。 みきひーってば、いつのまに…だよ。昔から変なところによく出現する奴ではあったけどさ。 「会いたい!今どこにいるかな?みきひーもやっぱ変な本とか持ってんのかな?」 「…奏、なんでそこなの?突っ込みどころ多すぎるのも変わんないわね」 わぁーなんかすごい偶然。奇跡っていうか、もう 「…うわさをすれば?」 「ん?影が…ぅわっ!?」 「ちゅーす、澪!…で、奏か?!こいつ、奏だよな?!」 背後にでかい影が差したかと思えば本人登場。そう、こいつこそさっき話してた張本人、榊原 幹彦だったりする。(でかくなったなぁ…) て、いうか登場そうそう何人の頭叩いてんの! 「見ての通り、奏よ。ほら、奏、これが幹」 うぅ…澪姉さんは冷静すぎるよぅ。 「おー、奏、なんかちっちゃくなったな?俺の気のせいか?」 「みきひーがでかくなったんでしょ?今何センチだよ」 「ん…最近測ったので170越えたかな?別に俺バスケ部じゃねぇけど」 「え?みきひー部活やってんの?何部??」 「サッカー!夢はでっかくワールドカップ!…なんてな」 「朝から晩までサッカーばっかりの言わばサッカーバカ?でも、ま、補欠とは言え選手になったのよね」 横から澪姉が言う。 「え?なんでそんなこと澪が知ってんの?俺澪に言ったっけ?」 すると澪姉は顔をほんのり朱に染めた。そして慌てて、 「い、言ってない、けど!部活の男子が言ってたから…だから知ってただけよ。でも、本当だったんだ?」 と言うといつものポーカーフェイスに戻った。私はなんとなく気になったけど、みきひーは特に気にしてない様子で 「それはな。俺だって頑張ったんだぞ。だから応援よろしく〜♪」 と最後をおどけて言った。私は普通に「頑張ってね♪」って言ったけど、澪姉は 「…頑張って、ね」とちょっとうつむいて言った。 ―…どうしたのかな?澪姉、具合でも悪いのかな? なんて、その時は呑気に思ってた。それまではよかったんだと思う。 だって、その時の私は無知で恋だなんて感情は幼馴染とは全 く違うものであって、私にも、澪姉にも、そしてみきひーにも関 係のないものだと思っていたから―…。 ―そして私はこのことをこれから後悔することになる…。 あなたは、いまの自分の行いが、全て正しい方向に 進んでいるとは言えますか? このときの私なら…なんと答えただろう―…。 |
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