現代版桃太郎
作者: 真佐人   2009年05月11日(月) 15時39分52秒公開   ID:LjOpF6jSo/I
昔?いや多分数十年前のお話です・・・
とある村に、お爺さんとお婆さんが住んでいました。
お爺さんは、昔なら山へ芝刈りに行くのだけど、そんなに昔では無いので
山には行かないで家の中でのんびり過ごしているのでした。はっきり言って駄目爺です
お婆さんは、昔なら川に洗濯しに行くのだけど、今の時代は便利な物ばかり開発されているので洗濯は洗濯機で済まし、やはりお爺さんと同じく、家でのんびりと過ごしているのでした

そんなある日、お婆さんが川へ散歩しに行ってると、河上からどんぶらこ〜どんぶらこ〜と
大きな桃が流れてくるのでした
お婆さんは驚きました。何故かと言うと、桃の体積は水より重いので浮かぶ筈が無いのです
はっきり言って超常現象見たいな感じなのでした

「う、うわあ〜〜〜!!!」

お婆さんは恐怖に怯え、腰を抜かしてしまいました。
桃はどんぶらこ〜どんぶらこ〜と流れて、何故かお婆さんの前に止まったのです
そして、勝手に転がって地上に上陸、まるでお婆さんを誘っている見たいでした
お婆さんは気を取り直して、考えました


「もしかしてこれは神様の使いか?いやそんな訳・・・しかし・・・美味そうな桃・・・」


お婆さんよっこらせっと体を持ち上げ、桃を家に持って帰る事にするのでした・・・
家に着くと、お爺さんは驚きました。何故かと言うと・・・
お婆さんの顔の二倍ぐらいある大きな桃をお婆さんが持って来たからです
う〜ん?はっきり言ってこの桃、不気味〜


「それは一体・・・?どうした?」


「さっき川で拾ったと言うか・・・勝手に地上に上がって来たの」


「は?」


お爺さんは、お婆さんの言った事が理解出来ず解らなかったのでした


「と、とにかくこの桃を食べるの〜」

お婆さんは、台所から良く切れそうな包丁を持って来て
試し素振りをした後、真っ二つに包丁を桃に直撃したのでした


「とりゃあ〜〜〜〜!!!」
桃は、真っ二つに割れて、中から赤ん坊がおぎゃあ〜と
泣き声を上げたのでした
「うわあ〜〜〜〜!!!?」

お婆さんとお爺さんは、やはり又、驚いて腰を抜かしたのでした
しばらくたって、お爺さんは「桃から子供が産まれるなんて・・・」
と呟き、お婆さんは「この子も食べられるのかな?」と言っているのでした
まあ、桃から産まれたから桃と同じ成分なのかも知れないからね〜
そして、二人は相談した後、この子に「桃太郎」と名付け
育てる事にするのでした・・・

桃太郎が、大きくなり青年になり始めた頃、
町に鬼が出ると言う噂が流れ始めたのでした


「おい!桃太郎」


「何?父さん?」


「お前・・・町に行って鬼を退治して来い!それまで帰って来るんじゃない!」

「は?」

お爺さんは、お婆さんに作らせた黍団子を持たせ、
旅に出るように命令しました


「帰って来るんじゃ無いわよ♪」

お婆さんも笑顔で、そう言っているのでした


「・・・・俺に拒否権は無いのか・・・」


桃太郎は物々文句を言って、旅立つ事にしたのでした・・・


「て・・・・しまった!」

桃太郎はある事に気がついたのです。それは・・・
鬼が何所にいて、しかも町の場所さえ聞くのを忘れたからでした


「困ったな・・・しょうがないから家に戻るか・・・」

桃太郎は来た道を戻ろうとしました
そしてお爺さん達が住んでいる家に戻ると、扉を開けた瞬間、
お婆さんが出て来て笑顔でこう言いました


「帰って着ちゃ駄目よ?って言ったでしょ♪」

ドンッと家の外に出して、扉を思いっきり強く閉めました。
そして張り紙をべたっと扉の前に貼ったのです
その内容は・・・

「桃太郎お断り!」


のたった一言だけ書かれてあるのでした


「は?」


桃太郎は、ドンドンと扉を叩いて開けようとしたのですが
扉は頑丈に出来ていて、しかも鍵が掛かっているのでした
ああ、なんて不幸な桃太郎〜

「不幸と勝手に決め付けるな!」

桃太郎は仕方が無く、お爺さん達が住んでいる
家から離れる事にしたのでした
そして路頭に迷い、ふらふらと歩いていると前から三匹の動物が
やって来たのでした
三匹の動物とは、組み合わせが絶対にあり得ない猿と雉と犬なのでした


「あんたが桃太郎かい?」


猿が人語を絶対話せない筈なのに、話し掛けて来たのでした


「そ、そうだけど・・・」


「見つけたキジ」


「見つけたワン」


(なんだこいつら?何故人間の言葉が話せて、
しかも猿以外は後ろに変な語尾が付いてるんだ?)

桃太郎の思っている事は、至って単純なのでした


「桃太郎か・・・・なら・・・天誅!」

猿はいきなり爪をキラーンと光らせ
犬は口を大きく開けて牙を剥き出しにしたのでした


「は?何故?」

「問答無用キジ!我々はあそこに見える町の守備隊キジ、
忍の情報によると怪しい格好をしている奴が
あそこの町にやって来ると言う情報が入ったキジ!」


「さあ命乞いをするかこの場で遣られるかどっちか選ぶワン!」


「ちなみに俺たちのコードネームは、トリオ・ザ・アニマルだ!」


「・・・・こんな所で遣られる訳にはいくか〜!」


桃太郎は、お婆さんから貰った刀を構えようとしました


「あれ?」

桃太郎は青ざめました。何故かと言うと・・・
刀は唯の紙(剣の形に切り抜いて、色を塗った物)だったからでした

「これじゃあ100%勝てないじゃないか・・・母さんめ・・・俺を殺す気か!?」

桃太郎は、お婆さんとお爺さんが笑っているのが目に浮かびました


「さあ、覚悟するキジ!」


「おい・・・絶体絶命じゃないのか?
参ったな・・・これじゃ勝ち目無いじゃないか・・・」

桃太郎は深く考えました
そして導き出した結果、
こういう結論に出たのです,それは・・・
[逃げるが勝ち♪]
・・・・・これじゃ、正義の味方じゃ無いですね〜敵前逃亡ですか〜?

「五月蝿い!なんと言われようと、俺は生き残る!」


桃太郎は、ダッシュで走り、
トリオ・ザ・アニマルから遠ざかっていくのでした

「あ、逃げるのか!」


「卑怯な奴だワン!」


「待てキジ!」

トリオ・ザ・アニマルの三匹、
猿と犬と雉は桃太郎の事を追いかけたのでした
そして二時間ほどで、桃太郎はばてて動けなくなり、
トリオ・ザ・アニマル追い詰めてこう言ったのでした


「どうやら逃げられぬみたいだな!」


「さあ、覚悟するワン!」


「行くぞキジ!」


三匹は、自分に合った攻撃態勢で構え、桃太郎に突っ込みました

(何か良い手は無いのか・・・ってそうだ!)


桃太郎は、ある物に気がつきました,それは・・・
紙の剣を持っていたので、顔をバシバシ叩けば何とかなると思ったからです
そして実行に移すのでした・・・
数分の間に決着が着きました,もちろん勝ったのは、トリオ・ザ・アニマルです
桃太郎弱すぎ〜


「紙の剣でどうやって戦えと言うんじゃああああ!!!」


桃太郎はぼろぼろになりながら、これをくれたお婆さんを恨みました


「さあ、とどめだ!」


「覚悟ワン!」


(くそ・・・何か無いのか・・・ってそう言えば!)

桃太郎は、又、ある物に気が付きました。それは・・・
お婆さんから貰った黍団子でした


「ま、待て!お前ら!これをやるから見逃してくれ!」


桃太郎は、トリオ・ザ・アニマルに黍団子を渡しました


「美味そうな団子だな・・・」


「せっかく貰ったんだ、食べるワン!」


猿と犬は、桃太郎から貰った黍団子を食べました
すると・・・


「ぐは!」


「ワン!」


猿と犬は、痙攣を起こし麻痺をして、動けなくなったのです
どうやら黍団子の中に何か入っていたようです


「うわあ・・・・食べなくて良かった・・・って母さん・・・
俺にこれを渡してどうしようと思ったんだ・・・」

桃太郎は考えたくない事を考えて青ざめました

「よ、よくもやったキジ!私は黍団子は食べれないから助かったけど
仲間をこんなにして許さないキジ!」


「雉が相手か・・・なら!」

桃太郎は、紙の刀を雉にぶつけて目の前を見えなくして、
ボコボコに殴りました
この戦いは人VS鳥の戦いで、もちろん勝ったのは人でした


「く、くそキジ・・・」


「そう言えばお前、あの町で守備隊をやってるって言ってたな?」


「それが何だキジ」


「じゃあ、聞くが鬼はいたか?俺はそいつを倒して家に帰りたいんだ」


「鬼?鬼なんかいないキジよ?鬼が出没したのは、
丁度十五年前ぐらいだキジ」


「は?」


桃太郎は、それを聞いて唖然としました


「お爺さん達が、鬼が町に出没してるから
退治しに行って来いって言われて来たんだけど・・・?」


「多分、ぼけて十五年前の話を言ったんだろキジ!
第一鬼は、もうすでに他の誰かにやっつけられて、しかも鬼ケ島と言う場所から
金銀財宝を奪って逃走!私達はそいつを指名手配として追っているキジ!」


「その名前は・・・?」


「そいつは自分自身の事を桃太郎と言っているんだキジ!」

「は・・・?」
(ちょっと待て・・十五年前と言えば・・・)

そう、お婆さんがびっくりして桃を持って来た時代でした


「待て!俺はとりあえず十五だ!だから俺には100%不可能だ!」


「じゃあ、お前の他に誰が桃太郎と名乗ってるキジ!?」


「待てよ・・・・もしかして・・・!」

桃太郎は、この名前を付けた張本人達、そうお婆さんとお爺さんの住んでいる家に直行しましたすると・・・

「あれ・・・?」

桃太郎は驚きました.何故かと言うと
その場所に建てられていた家が消えていて、
置手紙にこう書かれてあったからです


「さようなら〜♪桃太郎〜達者に暮らしなさい〜♪」

どうやらお婆さんが書いたみたいでした

「ちょっと待てよ・・・・理不尽な事を残して、
ぱっと消えるなああ〜〜〜〜〜!!!」

こうして、桃太郎はお婆さん達が住んでいた所の前で、
叫んでいたのでした・・・
めでたしめでたし♪

「何処が!!」
■作者からのメッセージ
久しぶりに登場真佐人です。
名作の桃太郎と、勝手にアレンジして作ってみました。
よろしければ感想とか貰えると嬉しいです。
次は、シンデレラの話でも書こうかな?と思います。

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