意地っ張り子猫シッターさん★Verすぺしゃる 咲島家のお皿 |
作者: なぁび 2009年05月20日(水) 15時50分26秒公開 ID:5/1zPIXWuTs |
「さーて、今日のメニューは何にしようかなー…」 冷蔵庫を覗き込みながら瑠姫はつぶやく。手に持ったのは、人参、ピーマン、茄子…。 どうやら咲島家の今日の晩御飯はマーボー茄子のようです。 「…買い物、してないのか?」 まったく…と言いながら瑠姫は少々乱暴に冷蔵庫を閉める。 手に持った野菜をまな板にごろっと置くときゅっとエプロンのひもをリボン結びにする。 そして、とんとんとんとん…と、瑠姫は包丁をリズミカルに動かし始めた。 「いっただっきまーっす!!」 全員が席に着き、ぱんっと手を合わせて言った。そして自分に割り当てられたおかずに箸をつける。 「「「マーボー茄子…」」」 なぜか箸をつけず、こんなことをぼやくのは三つ子。 作ってしまってから、瑠姫はしまった!と思った。 「お前が作ったんだろ?これ…」 あのなぁ、と、李玖が瑠姫をじっと視線を向ける。瑠姫は視線をマーボー茄子に向けたまま 「だって、冷蔵庫の中にこれくらいしかなくて…」 「野菜炒めでもよかったろうに。…遥兄、これ、やる」 李玖が遥の皿に移したのは、茄子。まぎれもなく茄子。 「じゃあ瑠姫姉、あげる…」 さらにその茄子が遥の皿の茄子も入れて隣の瑠姫の皿に移った。 「そういえばさ、前にお父さんが…」 食卓は他愛もない話で盛り上がっていた。みんなの皿からも約半分ほどが胃の中へと消え去った頃。 「そんなこともあったね〜…」 そう言いながら、瑠姫の手だけは動いていた。 皿の上の、李玖+遥+自分の茄子を隣の皿へとさりげな〜く、そうあくまでもさりげな〜く、移す。 「ま、今じゃいい思い出って感じだけどね〜」 「…?ありゃ?俺の茄子なんか増えてねぇ?」 「気のせい気のせい。さっさと食べちゃいなよ」 「そうか?…ま、気のせいだよな、増えるなんてこと、まさかありえないし!」 「「「そうそう、気のせい気のせい…」」」 三つ子の最大の敵。それは茄子なのであった… 性格こそ何かが違えど、こういう時の連携プレイだけはスバラシイ。 こうして今日も茄子という最大の敵を見事に撃退?した彼らは満足そうに食事を終えたのであった。 めでたしめでたしw 〜おまけ?〜 「お母さん…?この紫のは何?」 「見ての通り茄子だけど、それが何かしたの?」 「私たちに散々残すな言ってて大人がそれじゃあダメだと思うんですけど?」 「あーら、大人はいいのよ♪」 咲島家の戦いはまだまだ続く…多分…。 |
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