交差する彼らの居場所  プロローグ
作者: 悠蓮   2009年05月23日(土) 23時45分51秒公開   ID:XnxKweJ8Y8w
プロローグ


『全魔道師に緊急連絡。第四保管庫が魔族により襲撃を受け、十二個の『ボックス』が逃走。繰り返す……』
 けたたましいサイレンの音と、幾度も繰り返される緊急連絡。
 少年はそれを破壊され尽くした部屋の中で一人聞いていた。
 傷ついた体は満足に動かすことも出来ず、その瞳は虚空を見つめるだけ。
 ふと意識を集中させ目の前を見るが、そこには先ほどまで彼と談笑していた者たちが彼と同じように傷ついた姿だけ。
「……っ、ぁ」
 必死に体を動かし、彼らに手を伸ばすが、
 それはもはや彼の腕ではなく、獣の腕。
 短いその腕をいくら伸ばしても仲間へは届かない。



「うぁっ、あああああああああああああああああ!!!!!!!」
 ――少年の絶叫があたりに響き渡った。




 それは普通の日常のはるか遠くの非日常で起きた小さな異変。
 非日常を日常として生きる人々の大きな悲劇。
 しかし、それはどちらも同じ出来事にすぎない。

 ただ、両者の感じ方が違うだけ。






■作者からのメッセージ
どうも悠蓮というものです。
今回は部活用に書いた作品がどんな感想をもらえるのかと思って投稿しました。
上のイラストは表紙絵に使ったものです。
ちょっと長くなりますがお付き合いいただけると幸いです。


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