天然天使の奏でる旋律 協奏曲第4楽章 |
作者: なぁび 2009年05月24日(日) 11時45分59秒公開 ID:EwcnCl4eQxI |
思春期。真っただ中。 放課後にグラウンドから聞こえる野球部の歓声や空を切る快音がなんとなく青春を思わせる。 「青春って…「いいねぇ」」 途中、みきひーの声とともに私は言った。 「何大人みたいなこと言ってるのよ。奏だって幹だって青春してるでしょ」 窓に寄りかかって本を読んでいた澪姉さんが顔を上げて言う。 「私してないー青春なんてー…ら・ら・らー♪」 「それも青春よ」 私が調子に乗って語尾に変なメロディを乗せてみると澪姉さんはいつものようにさらっと毒舌突っ込み。 なんか、ここ最近、澪姉さんの様子が変な気がする。 「青春…部活、スポーツだろ?仲間と団結だろ?…あと恋愛もじゃない?」 「恋愛かぁ…好きな人…とか?」 「まだお子ちゃまな奏にはまだ早いですよー」 みきひーがそんなことを言って私の頭をぐしゃぐしゃにした。私は「もー!」とみきひーの手を除け、ぐしゃぐしゃになった髪を元に戻す。 「たしかに奏にはまだ理解できないわよね。男女見境なく好き好き言ってるくらいだもの」 …澪姉さんまで! 「そういうのとは違うんだよ。なんていうか、誰にも渡したくないとか?守りたい?とか」 「渡したくないはともかく守りたいはみんな守ってあげたいよ?」 すると澪姉さんとみきひーは2人して私の頭をぐしゃっとする。 「そこがなんだよな〜…」 「おとなしく関数の勉強でもしてなさい」 「え〜?何?なんなの〜?」 もう、何が何だっていうの?2人の言ってること、よく分かんない。 「あ、じゃあさぁ、2人は好きな人いるの?」 「――…え?」 その瞬間2人ともその場にフリーズした。 「どうしたの?2人とも…?」 「…あ、いや…な、なんでも?」 そうみきひーは言った。けれど、私から見てもそれはかなり動揺してるように見えた。…隣の澪姉さんも。 その時教室のドアが開いて真由ちゃんが入ってきた。 「奏!ちょうどよかった!ちょっとこっち来て!」 真由ちゃんはそう言うなり私の腕を掴んで外に連れ出した。 「もう、なんなの?真由ちゃん…急に連れ出して」 「なんなの?じゃなくて…やっぱり奏は子供っていうか…」 真由ちゃんにまで同じことを言われて、たしかにそれは本当のことかもしれないけどちょっとムッとした。 「あのさ、気付かないの?いつも一緒にいて…神崎さんは…」 「…澪姉さんは?」 「――…幹彦くんのことが好きなんだよ」 ――え? |
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