意地っ張り子猫シッターさん★Verしーくれっと 愛の逃避行? |
作者: なぁび 2009年05月28日(木) 20時26分53秒公開 ID:/dxzQ0Wmf36 |
運動会。=めんどくさい。 どうして夏休み明け早々こんな疲れるものをしなければならないのか。 体力がもったいない。それに、生徒会がこんなに労働しなければならないてのも。 「プログラム5番、1年生による借り物競走です。今年も生徒会が考えた様々なしれーをクリアし、無事、ゴールまで辿り着く人はいるのでしょーか」 「…か、会長…棒読みはやめましょう!」 そしてアナウンス。そこまで俺がやれと。ただでか。 「1年生か〜…借り物競走、俺たちもやったね〜。俺さ〜指令が「体育の先生」だったんだぜ?探した探した」 「…俺なんて「生徒会長」だった…今年も入ってたら俺…」 そういえば、1年生って月も1年なのか。これに出るんだろうなぁ…。 入場門の方を見つめていたら月が気付いてこっちにピースをしてきた。俺は何となく横をぷいっちょと向いた。 「そういえばさ〜今年指令に「好きな人」入れたって本当?」 生徒会で近くに座っていた女子がそんなことを言っていた。 「…え?」 「うん、マジらしいよ〜。しかも結構な数入れたって…」 その瞬間、俺はがたっと椅子から飛び起きた。 と同時になるピストルの音。スタートしたのは…まさに月だった。 「今回の指令は?…おーっと!みんな固まっております!まさか「好きな人」だったのでしょうか?!」 応援席から笑い声が上がった。 「さて、みんな各々誰を選ぶのでしょーか?!」 俺の胸が嫌な音で鳴り響く。 お願い――…月の指令だけ、「好きな人」じゃありませんように…!! 月はこっちを見た。――ような気がした。 もう何もかも分からない。ただ、目を閉じて、次に目を開けたら…月が、目の前にいればいいなぁと思った。 「先輩!」 「…ゆ、え…な、んで?」 「理由なんて、ないよ――…ただ、俺が、李玖先輩を好きだから 月の手から落ちた1枚の紙には、「好きな人」――…。 期待、してもいい…? だんっ!! 俺は勢いをつけて長机を乗り越えた。 いつも言われてるはずなのに、今日はなぜだかすとんと心の中に落ちてきた。 笑顔で伝えたいのに、こんなぐしゃぐしゃな顔。でも、今、伝えたいんだ。 「悔しいけど、俺…月のこと、大好きなんだもん!」 言い切った後、足の力が抜けて…その場で崩れてまた泣いてしまった。 「ふええぇぇぇ…」 俺が意地っ張り子猫なら、お前はしつけ役。すなわち 意地っ張り子猫シッターだね…。 「先輩!」 月が俺の腕を急に引っ張った。 次の瞬間、俺は月に背中とひざの裏を支えられていて…。 いわゆる、"お姫様抱っこ"なるものをされていた。 そのまま、月は走り出す。 「先輩のこと、このままさらっちゃいます☆」 今なら、それでもいいと思った。むしろ――素直にうれしかった。 |
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