アナザーワールド プロローグ〜宮田 真紘の場合〜 | |
作者: Leaves 2009年05月16日(土) 03時37分58秒公開 ID:/dxzQ0Wmf36 | |
『アナザーワールド』 3年前RS社が公開した大型MMORPG。 それは精巧なグラフィックと特殊仕様が話題を呼び、今や日本一のユーザー数を獲得した。 話題の特殊仕様――すなわちプレイヤーのGM化。 一定以上の力量を持ったプレイヤーに授けられる「帝」の称号。 その称号を手にすればゲーム運営に関わることができるシステム。 「帝」の称号を手にするため今日も冒険者達はもう一つの世界を駆け回る。 アナザーワールド プロローグ〜 「真紘ちゃんっ、超可愛い!!」 「こっち向いて〜!写メ撮って待ち受けにする〜!」 昇降口に出来た人だかり。 たいがいの生徒は(特に男子)外に出られなくて困っていた。 それもそのはず、出口付近には何十人という女子がある1人を囲むようにして出口をふさいでいた。 その円の中心にいるのは、綺麗な黒髪を、無防備にたらした――…。 宮田 真紘。容姿はまるで女子のようだが、着ている制服はワイシャツに紺色のネクタイ、グレーのズボン。男物だ。 外見やしぐさが小動物のように可愛らしいということで、真紘は気付けばこの学校のアイドル的存在になっていた。 今日も1日女子たちに囲まれ、真紘は1日を終える。 「ねぇね!今日新しく出来た駅前のケーキ屋行ってみない?あそこのタルトがすっごいおいしいんだって!どう?真紘ちゃんも一緒に!」 「んー?ケーキ屋さん?…食べたいけど、僕今日用事があるんだよねぇ♪だからごめんね、また今度♪」 ごめんね、と言いながら真紘はつま先立ちしてみせる。その仕草に、女子はまた「真紘ちゃん、可愛いっ!」などと歓声を上げる。 「だから今日はもう帰るね♪みんな、ばいばい♪」 手を振りながら真紘は女子の中をくぐり抜けて行く。平均より身長がかなり低い真紘にとってはそれも大変であった。 人だかりを抜けてすぐ、真紘は走りだした。その小さな体を懸命に動かしながら。 実を言えば、真紘はタルトが大好物である。前に友達の誕生パーティーで主役であるはずの子から、その時ものすごく人気があったカードゲームのレアカードをあげてまでタルトをもらったくらいだ。 そんな真紘にも、それ以上の楽しみが出来たらしい。 ⇒To Be Continued... |
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