天然天使の奏でる旋律 協奏曲第8楽章 |
作者: なぁび 2009年06月18日(木) 19時03分18秒公開 ID:U12kmnD5H8M |
私は時々…懐かしい夢を見るんだ…。 出てくるのはもちろん、澪姉、みきひー、それから私でいつも3人そろってる。 あれも、この頃だったな。6月下旬ころにピークを迎えるうしかい座流星群。 それを3人で見に行ったっけ。そう、中1の頃。 親もいなくて私たち3人だけで、真っ暗な丘に登った。 3人で見た流星群はそれはそれはきれいで、いつまでも見てたかった…。 そして今年も私は2人に提案をしてみる。 「ねぇ、覚えてるかな?去年、うしかい座流星群見に行ったこと。あれ、今年も行かない?」 2人は少しの間きょとんとして、私を数秒間見つめた。 「あ、思い出した。たしか澪が迷子になった時の…」 みきひーはどうやら思い出したみたい。たしかに澪姉は迷子になったっけ。 これを聞いて澪姉はちょっとむっとして 「だって丘ってこれといって目印とかないでしょ!ていうかそもそも幹がリフティングなんてするから…」 そうそう。みきひーってばなんでかサッカーボール持ち込んで…暴投して、澪姉が探しに行ったんだ。 「ご、ごめんごめん…今回は持って行かないからさ。俺は賛成。テスト終わったし、気分転換に行くか!」 「そうね。星見るのは嫌いじゃないし、2人がいいんなら私もいいけど」 「やった♪またみんなで行けるんだね!」 私がそう言うと、2人は笑顔でうなずいた。 そして。もちろん、星を見るから夜です。 あの日と同じ真っ暗闇。たしかにちょっと怖いけど、3人でいるから大丈夫だよね。 真っ暗闇の中、みきひーを先頭に(ちなみに2番目は澪姉、私は最後)どんどんと上った。 途中、何人かの大人もいてここって意外に穴場なんだなぁと思った。 「さーて、前もここらだったよな?」 辺りを見回すと見えるのは下の方にともっている家の小さな明かり。空はたくさんの星がまたたいていた。 「うん。時間、間に合ったね」 「今年はどうかな…あ、幹、ポケットからライト落ちそう…」 澪姉がみきひーのポケットから飛び出しているペンライトを指して言った。 慌ててみきひーはポケットに手を入れる。 が、慌て過ぎたのか手が当たってペンライトは坂を下り――…? 傾斜が急になって崖になっている手前で止まった。 「まったく、なんでそんなところにペンライトなんか入れておくかなぁ?」 「そうだよ。どうせならでっかい懐中電灯の方が目立っていいじゃん」 「いや、邪魔だろ。待って、俺取ってくる」 それより先に澪姉が走って取りに行っていた。 「2人はそこで待ってて。私、取ってくるから…」 その時、私にはなぜか嫌な感じがした。 それは、みきひーも同じだったようで、慌てて澪姉の後ろを追った。 「澪…っ!待っ…」 時すでに遅し。 次の瞬間、視界から澪姉が消えた。 |
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