天然天使の奏でる旋律 協奏曲第9楽章
作者: なぁび   2009年07月28日(火) 20時40分29秒公開   ID:PM0BC5LJ4kk
【PAGE 1/3】 [1] [2] [3]








 次の瞬間、視界から澪姉が消えた。

 「…な、にが…?」

 ――――何ガ 起ッタノ…?

 「澪っ!」

 突然駆け出すみきひー。何が何だか、私には分からない…分からない。

 「ねぇ、何したの…今、何があったの…?」

 次の瞬間、みきひーの口から飛び出した言葉は、あまりにも信じられなくて。

 信じられるものではなくて。









 「…っな、んで…わ、私のせい…だ…私が、私が…っ!」

 「落ち着け! ここでなんだかんだ言ったって時間は戻らないだろ!」

 そうだけど。激しく後悔の念が私に押し寄せる。

 「でも、私が言わなければ…誘わなければ…っ!」

 私のせいだと思う。全ては私がいけないんだ。そう、全ては…。

 「奏! …分かった、俺助けに行くから! お前はそこで待ってろ!」

 「…み、きひーが…?」

 それって、もしかしたら。





 ミキヒーモ死ンジャウカモシレナイノ…?





 「そんなの、なんで…!」

 その時の私は、何もかも嫌だった。

 澪姉を助けに行かなければならない。けれども、また誰かが同じになるのは嫌。

 「まだ澪は死んだわけじゃない! きっと…いや、絶対生きてる!」

 私だけは、その場で弱気で。

 「それに、俺が、助けに行かなきゃ誰が行くんだよ。俺じゃなきゃダメなんだよ、これは」

 「でも、でも…っ!」

 泣きじゃくる私を、みきひーは強引に近くにいた人に預け、澪姉がさっき消えた場所へと走り出す。

 「みきひー! みきひ…」

 「そっちは危ないから、君、こっちへ来るんだ!」

 「だってみきひーが…っ!」

 私は強引に掴まれて腕を振り払おうとする。

 「いいから、君死にたいの?!」

 結局、その質問にyesと答えられるはずもなく。大人の男の人に敵うはずもなく。









 私は、少し離れた場所に建てられていたテントに連れて行かれた。

 「…はい、ココアなら飲めるよね?」

 手渡された毛布にくるまりながら、ココアを一口。ちょっと落ち着いた気がした。

 「君、いくつ? 星は好き?」

 「…14歳。中2です。…星は、好きです」

 「中学生?! …すごいなぁ、俺そんくらいの時先生にいたずらすることを真面目にやってたな」

 男の人は、そう言って笑った。

 「星は、飽きないよね。…あ、俺は有間ありま 鷹羽たかは。鷹に羽、で鷹羽。君は?」

 「…星野ほしの かなで。奏でるって書いてかなで」

 「いい名前だね」

 この人、悪い人ではなさそう。ちょっと、安心できる。

 「今日は一人で来てた?」

 「友達と…でも、さっき…」

 「さっき? あ、友達ってさっきどこかへ走って行っちゃった?」

 ダメだ。また、私、パニックになりそう…。

 「あの友達、何かしたの? 奏ちゃんを置いて行くなんて、よっぽど急用?」

 「…澪姉が」

 澪姉が、崖から足を滑らせて。

 「みお? みおねえ? も、一緒に来てる子?」

 「…澪姉がみきひーが落っことしたペンライト拾いに行ったら、足…が…」

 「どうしたの?! 何かあったの?!」

 ただ事ではないと泣きだした私の肩をゆすりながら鷹羽さんは真剣な表情で詰め寄る。

 「…澪姉が、そのまま足を滑らせて崖から落ちちゃったの…っ!!」

 「なんで早く言わないんだ! あそこはな、場所によっては…」

 「たったさっき初めて会った人を信頼してそんなこと言えるわけ…っ!」

 そこで、はっと気づく。

 なんで勢いでこんなこと言っちゃったんだろう。

 私、最低だ…。私は人を傷つけることしか、出来ないの…?

 鷹羽さんはポケットからケータイを取り出し、誰かと電話していた。

 「あのさ、あの崖のところに中学生2人がいるんだけど…」






 やっぱり、私のせい、なんだよね――――…?
















⇒To Be Continued...

■一覧に戻る ■感想を見る ■削除・編集