私のスクールデイズ 番外編 隠された過去 -音依と菜摘と琉生- |
作者: 志乃 2009年07月28日(火) 22時17分35秒公開 ID:BOxE8OUQrC. |
私はいつも独りでした。 瞬間記憶能力と言う忘れたくても忘れられない暗記能力を持ってしまいました。 だから悲しい記憶を覚えたくなくていつも独りでした。 しかし、その能力のおかげで出会えたのかもしれません。 小学校の入学式。 その頃はたまたますれ違っただけだと思っていました。 それが菜摘と琉生くんとの出会いでした。 「琉生!さっさとしなさいよ!」 「分かってるよ!」 私の隣を髪を1つにしばった男の子とサイドで結んだ女の子が走っていきました。 それが全ての始まりだった。 ちょうどこの日は中学校の入学式。 小学校の頃みたいにきれいな桜が咲き誇っていました。 私は小学校の頃は虐められていました。 理由は瞬間記憶能力のせい。 見た物を忘れられない。 まだ幼かった私は怖がられました。 まだ小学校だったから差別と虐めという言葉を知らなかったからあの頃は仕方ないのかもしれません。 低学年から始まって中学年、高学年まで続きました。 幼稚園と小学校が一緒だった人が多数でしたからこの能力をもっている事を知られています。 先生達もひどい目で見てきます。 テストの時はカンニングしたんじゃないかと言われたり。 いろいろです。 ――――もう誰を信用したらいいのか分かりません。 話を戻します。 クラス発表が行われました。 クラスは1-3。全部で30人近くいます。 もちろん私を虐めていた人達も入っています。 不登校になろうと一瞬考えましたがやめました。 新しい出会いが待っているかもしれませんから。 「琉生!私まで遅れたらどうするの!」 「分かってる!」 聞いたことある。 振り返ってみるとフッと記憶が蘇ってきた。 小学校の入学式だった。 それはちょうど入学式の日。ほとんど同じ台詞だった。 「音依さっさとしなさいよ!!!!」 「困るんだけど!!」 元同じクラスだった人達が叫ぶ。 待っててなんていってないのに……。 「モカ!この子借りても良い?」 「菜摘!別にかまわないよ!」 「それにしても一緒のクラスなんだ♪」 「うん!」 私と話しているようなしゃべり方ではない。 モカもたのしそうだった。 なんだか羨ましい。 廊下連れてこられた。 「貴方はそれでいいの?」 「ほっとけよ」 「琉生は黙っててくれない?」 「私の名前は菜摘、こっちは琉生。貴方は?」 私の名前なんて聞いてどうするの。 どうせ忘れるくせに。 「大石 音依だよ?」 「モカが虐めていると思う?」 当たり前じゃないと思う。 どうせ、彼奴等の味方になるんだ。 「そんな事はするはずないよ。モカは私の友達だもん」 「あいつはねぇよ。毎日教室の花をかえて、机を直している」 嘘だ。 「貴方は本当のモカを見たことある?」 「ある訳ない。あいつらは………!!」 パチンッ 菜摘は私にびんたをした。 「噂で聞いたよ。瞬間記憶能力を持っているのでしょう?だから人を恐れている。違う?」 「何を恐れているの?悲しい記憶を持つこと?」 「そうだよ」 当たり前だ一生忘れることない記憶。 フラッシュバックする記憶。 「貴方達には分からない。この辛さを」 「分かるかっつーの。お前しかもってない記憶でいいじゃないか。それで助けあえばいい」 心が痛む。 「琉生の言うとおり。貴方が言わなければ周りも気づかない」 「おい琉生!そろそろ始まるぞ」 「後は貴方が気づくだけ音依ちゃん」 あの出会いから一年がたった。 今はずっと菜摘の後ろについている。 相変わらず菜摘と琉生くんはとっても仲が良い。 あの後からモカちゃんとも仲良くなった。 クラス全体にもなじめた。 すべては菜摘と琉生くんのおかげだよ? ありがとう。気づかせてくれて。 |
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