これCry Lovers 第8楽章 母からの試練 | |
作者: なぁび 2009年08月16日(日) 00時37分45秒公開 ID:sw0xlSukK4E | |
ある晴れた日曜日。 「――――…これで、全員? ここは、咲島家。 ゆったりとしたソファだが、さすがに5人はきつい。Mid☆Skyのメンバー、瑠姫、渚、梗樺、霧斗、実晴はぎゅうぎゅう詰めになって座っていた。 「やっぱり言うと思った。瑠姫も、いつか絶対バンドやりたい! って言うとは思ってたけど…本当に言うとはね」 母は紅茶を一口すする。 「…な、なんでそんなこと予想出来たのよ」 瑠姫が聞くと、母はふふっとほほ笑んで 「だって私の子だから? 弟に負けたくないからでしょ。昔からいちばんじゃないと気が済まない性格なのは私がいちばん知ってるつもり」 図星を刺され、瑠姫はバツの悪そうな顔になる。 たしかにその通りなのだ。いちばんは弟のハルに負けたくないから。それから、忘れちゃいけないのが。 (…修ちゃんに、追いつきたいから) ただでさえ年齢差で劣等感を感じているのに、有名人になってテレビに出てるだなんて。 自分が落ちこぼれのように感じた。大げさだと思うが、瑠姫はプライドが高い。 「あたしなんて…勝ち負けって言えばゲーム以外で競ったことない。兄弟で」 梗樺の家族構成はこうだ。 お気楽な父、母(現在海外で転々と道場を開いているらしい)、成人の兄、その下に双子の兄、そして梗樺。 全員そろって頭を使うことは苦手で、体を使うことは得意。全員、武術には長けている。 武術よりもすごいのが、格闘ゲームらしい。 「テストなんて競うまででもないしさ…まぁ、親戚が入れば別だけど」 「雪斗は頭いいですからね」 桜島家の家系は、梗樺を除けばあとは男で構成されている。 「まだいいじゃん。俺んちなんて…昔よくやってたのが姉ちゃんと可愛さを競ってたんだぜ?」 「誰とお姉さんが?」 「俺と姉ちゃんがだよ…」 その瞬間、誰しも実晴から数センチ遠ざかった。 「な、なんでみんな引くの…?」 「え、だって…実晴ってそんな趣味あったんだなーと思ってさ」 梗樺のいうそんな趣味とは、いわゆる女装。 「ちょ、俺にそんな趣味ないからっ! 姉ちゃんが無理矢理着せてるだけだから! 俺に!」 「実晴似合うから大丈夫だよ、だから落ち着いて?」 渚がフォローしたつもりらしいだが、それはフォローにはなってない。むしろ実晴は落ち込んだ。 「でも…たしかに似合いそうね」 「る、瑠姫さんのお母さんまで…!」 たしかに本音を言わせてもらえば実晴は女っぽいのだ。どことなくしぐさが女に見えるのは、ここにいる4人だけではあるまい。 「で、話を戻すわね」 後ろの棚から母は一枚の紙を取り出した。 「貴方たちは本当にバンドをやりたいのね? 私も応援する。けど、その前に腕試ししてもらうわ」 5人に見せたのは、一枚のポスター。大きな文字で『Rock Festival 〜今年も見つけるぜ 新たなShining Star!〜』と書かれていた。 「ろっくふぇすてい…って、これに出ろって言うの?!」 瑠姫が声を荒げる。それも無理はない。 「えぇ、そうよ。貴方たちには腕試しとしてこれに出てもらう。もちろん、狙うのは優勝」 「これって…結構スカウトとか来てるし、これを機に有名になったバンドも多い…それに、今活躍中のバンドだって出るよな?」 「つまり優勝するには相当の実力を要する、ってことですかね」 「これで優勝出来たらデビューさせてあげる。もちろん、ハルだってやったのよ?」 たいがい、母が社長を務めるこの事務所でデビューした人たちはこれでいい成績を残した人たちだ。 瑠姫たちだけ、逃れることは出来ない。 「「「「「みんな、行っくよー…!!」」」」」 5人は決意した。 ⇒To Be Continued... |
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