これCry Lovers 第15楽章 偽善の愛だとしても
作者: なぁび   2009年09月06日(日) 23時00分53秒公開   ID:sw0xlSukK4E
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 「恋愛ドラマって聞いてたけど、実際はサスペンスもの?」
 「そうなんですよ。いや〜美津子さんから瑠姫さんは名探偵だ! って聞いてたものでして…新聞とかでも、取り上げられてるじゃないですか」

 たしかにそうだ。

 瑠姫は巷では名の知れた高校生探偵だ。新聞ではよく取り上げられている。
 殺人から暗号解読、予告状まで――彼女にとけない謎はないとまで言われている。

 「兄弟から話を聞いたんですが、冷徹に犯人を追いつめるその様といったら。かっこいいんですってね?!」

 監督が目をきらきらと輝かせていった。


 ――たく、見たこともないくせに。


 正直、瑠姫は推理をしている時は何も考えずにしていることが多いので自分がどんな言動をしているのかなどよく分からないのだ。
 決して、全てを忘れていることではないが。


 「ま、それを生かして…事件に恋に忙しい探偵役をやってもらうよ」

 はい、と1冊の台本を手渡された。
 
 「その前に一応テスト。君が、どれだけ役になりきれるか。場合によっては代わってもらうけど」

 その言葉に、瑠姫に緊張感が走る。
 震える手で付箋の挟んであるページを開く。ちょうどそこは、犯人を追いつめているところだ。

 「君なら、出来ると信じて頼んだんだ。出来る」

 瑠姫の手は汗だくだった。
 台本を見たままでいい、とはいえ一発勝負だ。後戻りはできないうえに、失敗も許されない。


 「…あ、え、っと」




 かすれた声で、しかししっかりと芯を持った声で。








 「このトリックは、貴方にしか出来ないんです」








⇒To Be Continued...

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