これCry Lovers 第17楽章 I answered... | |
作者: なぁび [Home] 2009年10月04日(日) 23時30分11秒公開 ID:te6yfYFg2XA | |
「星が、綺麗だね」 「そうですね。寒くなると大気が澄んで来ますからこれからもっときれいに見えますよ」 真っ暗な一本の道を、瑠姫と霧斗は歩いていた。 時折雲の切れ間から垣間見せる月が足下を照らすだけで、他にほとんど明かりはない。 「そうなんだ。…もうここでいいよ」 ここでいいよ。彼女は今まで何度この言葉を発しただろう。 「いえ、危険ですから。リーダーに何かあったら大変ですし」 霧斗はそう言って引かなかった。 たしかにこんな道だ。女性一人で歩かせるのは危険。 「いざって時は何とかするし。霧斗だって疲れてるでしょ?」 「それとこれとは別ですよ。まだ新人ですし、いろいろと大変でしょう」 新人。瑠姫は暗闇の中で表情を強張らせる。 仕方がないのかもしれない。だって新人だから。 どんな暴言を浴びせられても、どんな仕打ちを受けても。 「それはみんな一緒じゃん…そりゃあ大変だけど、でも大変なのがいちばんだよ」 月が姿を隠した瞬間、瑠姫の手が無意識に上腕へと伸びる。 「瑠姫さんはいつも無理をするから心配なんです。貴女はいつも無意識に全てを背負いこもうとする」 「背負いこんでなんかないよ。霧斗だって無理してるんじゃないの」 「そうやっていつも人の心配ばかり。…たまには、頼っていいんですよ。僕はなんと言おうと仲間です」 もしかしたら、霧斗も同じ状況なのかもしれない。 感づいているのかもしれない。瑠姫が、こんな状況になっていること。 昔からカンはいい方だ。 「僕はいつも頼りにしてます。プレッシャーになっているかもしれませんが…」 「大丈夫だよ。プレッシャーなんかじゃない」 ――昔から、慣れっこだから。 心の中で瑠姫は呟く。 昔から慣れていた。プレッシャーを感じることには。 姉としてしっかりしなければならないというプレッシャー、いつも頼りになるねと言われるプレッシャー。 (本当は、慣れてなんかいない) けれどそれを受け入れるしかなかった。 「――…姫さん? …瑠姫さん? 瑠姫、さん?」 「…っあ、な、何? 霧斗…」 「家です。つきました」 ボーっとしているうちにいつの間にか家についていたらしい。 瑠姫は霧斗に別れを告げ、家に入った。 ⇒To Be Continued... |
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