ハードな学園生活!3!
作者: アルミ缶   2009年10月23日(金) 19時58分28秒公開   ID:ov6RKaAr3rc



〜4年前〜


「ちょっとあんたはもうちょっと女の子らしくしなさいよ!」


「女の子らしくしてるじゃん!頑張ってるじゃん!」



「まぁまぁ母さんも言い過ぎだって。」


少女と母が喧嘩をしていてそれを仲介している兄


「へへーんだ!翔兄はちゃーんとわかってるもんね!」


「こら!待ちなさい!」


少女は行ってしまう


「ったく!誰の遺伝子なのかしら。私はこんなに女の子っぽいのに・・・。」

「母さん、女の子じゃなくて女だろ?」


母は兄を叩く


「あはは、ごめん。」



〜少女の部屋〜


トントン・・・


少女の部屋を兄がノックする


「おーい、入るぞー?」


ガチャ・・・


「まだ入っていいとは言ってないでしょっ!!(くわっ!!)」


「うわ・・・すげー顔・・・。」


兄は少女に近寄る


兄「本を読んでやろうか?」


兄が持っていたのは『赤い鳥文庫 お姫様を救え!』


「あたし、もうそんな子供じゃないよ。」


「あはは。たまには読んでみろよ。これ、俺が5歳のころからあるお話なんだぜ?」


「5歳から!?」



「ああ。桃太郎なんかその前からだぜ?」


「あぁ・・・そりゃぁ・・・。」



兄は本を開く




このお話は
夢の中に迷い込んだ少年が不思議な妖精ディーと会い
お姫様を救うために必要な鍵を3つ探し出し
お姫様を救うお話・・・




「おもしろーい!ちょっとなさけないけど・・・。」


「そんなことないぜ。たまにはノスタルジーに浸れよ。」



「のすたるじー??」


「簡単に言えば懐かしさかな?」


「この話、聞いたの初めてなんだけど・・・。」



少女と兄は近所でうわさになるほど仲のいい兄弟と言われている




でもその幸せも長くは続かなかった




「ゴボッッ・・・!!」


兄の口から出る鮮血


それは突然だった


「翔!翔!」



母は苦しむ兄に必死に声をかけるが

兄はそのまま救急車へ消えていった




それを少女が知ったのは学校から帰ったときだった




先生に連れられ少女は病院に行った



兄がいるはずの病室に行くと



そこには白い布をかけられた兄らしき人と


それにすがりつく母の姿



何が起こったのか少女はわからない


いや、信じたくなかっただけかもしれないが

少女はその日、涙を一滴も流すことはなかった



医者の話によれば兄は不治の心臓病だったらしい


しかしその心臓病はあまり症状がなく突然死するので

原因がわかっていなかった



その次の日から少女に待っていたのは


大好きな兄がいない生活・・・



先生は気を使って

「学校にしばらく来なくてもいいんだよ?忌引きってこともできるんだから。」


しかし少女は


「いいえ、大丈夫です!すぐに慣れますから。」


わざと明るく振舞った



しかし悲しみもやたらと湧いてこない


今の自分の心情がわからなかった



〜小学校〜





「・・・元気ね?」



心配してくれているのは一人の友達


「小雪・・・。」



「あ、いや・・・お兄さん亡くなったって聞いて・・・。」


「不治の病なんだから仕方ないって。」


「うん・・・でも、歩・・・・あなた泣いた?」


「え?」



「だって・・・すごく泣きたそうなんだもん。」



「え・・・。」



「あたしのおばあちゃんから聞いたんだけど、泣きたい時泣いてない子は普段も泣きたそうにしてるんだって。」



「・・・・・。」



あの時少女は自分で泣きたかったのかもわからなかった




〜家〜


少女は兄の遺影と仏壇を見つめた


そこには時が止まってしまっている兄の笑顔


もうこれ以外の兄の顔は見ることはできない



しばらく少女はそこに座っていた


(あたしはやっぱり・・・・冷たい人間なんだ・・・・。)





少女は自分の手を自分で握る



その手はひどく冷たかった



少女は

冬、冷たくなった手を温めようとストーブの前に立ったとき

兄が同じく冷たい手を少女の手に重ねたときのことを思い出した



あの時温度はまるで同じく冷たかったのに

兄の手は温かく感じられた








ポタッ・・・・


冷たい手に何かが落ちた



目からの感触・・・・


涙だと自分でわかった



(泣けた・・・。)



そう思えば思うほど泣けてきた



次第には声を上げて泣いた



いつもなら兄が泣いている少女の背中をさすってくれるのだが

今はもうそれはない



悲しいという感情ではなかった


さみしかった




いつもの日常にポッカリ穴が開いたようだった



少女は泣いている自分に笑っている遺影を壊しそうになったが


母に怒られるので止めた































■作者からのメッセージ
微妙な終わり方ですけど
ありがとうございましたー!!!
これもかなりある方のアドバイスを入れてます!(ありがとうございまーす!)
そして見てくれた人たちありがとうございまーす!
できれば感想を下さい〜!


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