わたしは孤独主義者です X
作者: 瀬野心亜   2009年11月01日(日) 15時21分58秒公開   ID:xadqGTcF5PQ

わたしが 信じていたものは

間違っているの?

わたしが 本当に


信じたいのは―――――・・・






「小向さーんっ! 移動しようよぉ〜」

今日も舞生由紀の声が耳に届く

そして、こびり付いて離れない

「小向さーん」

あれ以来、衣音は由紀を無視することにしている



これ以上 彼女とつるんでしまったら

これ以上 彼女に漬け込んだら

自分は もう 逃げられなくなる






「小向さん?」

由紀はしぶとく、何度でも話し掛けてきた

「いっくら無視したって、あたし、諦めないからね! さっさと諦めちゃいなよ♪」

――――どうして、そんなにわたしに固執するの?






「小向さーん、体育だよ、次!」

わたしの体が 震えた

彼女は 諦めてくれない

わたしの顔から 血が さっと 引いていく




―――――やめて・・・やめてほしいんだ・・・

もう・・・やめて・・・





「やめてぇぇぇぇっ!!!」




お願い 


一人に


させて――――・・・










「よかった・・・目、覚めた?」


衣音は また 白い天井を 見ていて

周りは クリーム色のカーテンに 包まれていた


由紀が また 彼女に 笑いかける



「・・・っどうして、」



どうして、わたしに――――・・・



「あたしが、小向さんを好きだからだよ」



え――――――・・・・・・?



「あたしね、ずっと前から、一人で強く生きていこうとしている小向さんのこと、羨ましく思ってたんだ。
あたしには、そんなこと出来ないから・・・


でも、ね。


小向さん、いつも寂しそうだった」



「えっ・・・」


「強がっていて、人を突き放して、辛くない筈がない、って、思ったの。

けれど、小向さんのそんなトコロ、あたし、嫌いじゃないんだ! 

だから好きになった。

・・・でもさ、やっぱさ」


「え?」



「頑張りすぎてるよ」



その時

わたしの中の 蟠りが

すっと 無くなっていったのを 感じた




――――そうか、わたしは・・・


頼る何かが欲しかった



ずっと、わたしは、


「友達」が、 欲しかった――――






「・・・、うっ」

「辛かったでしょ?」

「わた・・・し・・・」

「もう、 いいんだよ」

「舞生・・・さ・・・」

「無理しないでいいんだよ。

泣いていいんだよ」


「・・・舞生さん・・・!!」



溢れる涙を 止められなくって


わたしは ずぅっと 泣いていた


「友達」に  縋り付いて

■作者からのメッセージ
彼女の心を 覆っていた 氷が

いま 静かに 溶けてゆく―――――

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