死神夜想曲 |
作者: 保朝弓亜 2009年11月04日(水) 11時45分40秒公開 ID:VrFuCX.CzP6 |
死神夜想曲 作・保朝弓亜 エピローグ ―私は今日も貴方を待つの。 冥界―ここは人を待つ、人を想う死神達の世界。 誰かがいなくなり、誰かがやって来る。 そんな世界―。 そこに留まったヒトを見た話。 ―ココハドコ? 白い世界、私はそこに居る。 何もない。無の世界。 私は誰だろう? 考えたのがきっかけ。 記憶はほつれだす。 彼と私は湖に身を投げる。 スローモーションのなかで考えるの。 ーどうして結ばれてはいけないの?あなた達なんて知らないわ。 私は彼が居ればいいの。彼だってそうだわ。私が居ればいいの。 握っていた手が強くなる。 ーずっと一緒。 そう思った。 そこで目を閉じたの。 なのに彼はいない。 何故―? 呆然とする私は声を漏らす。 「何故…。」 「―君が死んだからだ。」 何処からか惜しむように、絞るように、躊躇うように、声が返ってきた。 そんなに驚かった。まるで、知ってたかのように。 「彼は―?」 「生きている。」 即答だ。さっきとは違う。 ―あぁ死んでも一緒になれないの。 悲しみが襲う。 「彼が死んだら…一緒になれるよ。」 ―っ。 なんか嫌。分からない。嬉しいはずなのに。 その日から 私は 死神 なの―。 まだ陽は出てない。 懐かしい夢を見た気がする。 儚い夢。 手を伸ばせば消えてしまうの…。 彼女は頬をつたう涙に気づかないまま目を閉じた。 エピローグ・完 |
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