死神夜想曲
作者: 保朝弓亜   2009年11月04日(水) 11時51分04秒公開   ID:VrFuCX.CzP6
死神夜想曲 作・保朝弓亜

第一話 

彼女は瞳をあけた。

ピッチョン…。
水の音。

湖?なぜ?
私、礼拝堂に居たのよ…?おかしいわ。

ピチャ。
後ろから音が聞こえた。

他にも人はいたのね…。

そんな安心感から彼女は振り向いた。

少女がいた。

チャ。

首に当たった冷たく鋭い―剣?
怖い。

本能的に感じた生命の危機。
―体が震える。

「ルーシィ、やめろ。」

鈴の鳴るような声が聴こえる。

―誰?

顔をあげると可愛らしい少女がいた。


「貴女は誰?」

少女は尋ねた。
彼女も口をひらいた。

「私は―」

しかし、そこで口を閉じた。

「―分からないの?」

なぜこの少女はこんな顔をするんだろう?
貴女のことじゃないでしょう?

「―そうよ。分からない。」

なぜこんなにくやしいのだろう。

そんな彼女の海の蒼をした瞳に輝きはない。

「マリア。」

シュン。

さっきとは違い音をたてず、降り立った。

「イヴ、何か?」

マリアと呼ばれた人は儚かった。
それと対照的にイヴと呼ばれた少女は人が圧巻するオーラをまとっている。

―正反対。
それがこの二人に合う。

「この子―また?」
「そうだ。」

またってなんだろう。

「ねぇ、教えて?」

「―何を?」

―何ヲ?
またって―?
此処は何処―?
私は誰―?
貴女達は誰―?

彼ハ何処―?

―彼?
誰のこと?
私、何で知っているの?

疑問が溢れる。

―ズキンッ。

「あまり生前のことは思い出さないで。」
生前?
「マリア!」

イヴが遮る。

私の生前…―?
私は死んだの…―?
此処はいったい…―?
ズキンッズキンッ

燃えるように体が痛い。

「…―ほら、やっぱり」

イヴは悲しそうに顔を歪める。

「私は誰―?
貴女達、一体なんなの―?
此処は何処―?」

痛みの中、私は聞いた。
その間も疑問は溢れてる。

「貴女は私。
私達は貴女。
此処は…―
―そう、神の庭。」

イヴは言った。
その表情は冷たかった。
気のせいだろうか?

「意味が分からない。」

彼女は言った。

「そのままよ。」

横からマリアが言った。

そのまま―?
私と貴女達は違う。

「いや、同じだ。
―同じ魂なんだから。」


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■作者からのメッセージ
ついに第一話!
第二話も製作中。。。

コメント辛口アドバイス待ってます。

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