小さな僕の初恋 2 |
作者: 翠 2009年12月20日(日) 19時12分26秒公開 ID:33E/nA6Ip9Y |
始めてみる少女は僕のことを見て笑ってくれた。 まるで、あの子みたいに… 第二話 転校生は誰? 『―…よろしくね。』 由紀の声と外見の綺麗さにボーとしていた久音を一気に覚醒させたのは由紀の一言だった。 「神崎くんって…オッドアイなんだね。」 (……え? いつも眼帯していてそんなこと…。) 久音は、そのときハッとした。眼帯を付け忘れているということを。 「…っ!!」 久音は右目を押さえながら後ずさった。 (見られた。見られてしまった。) 小さい頃この瞳のせいで何度、親を自分を傷つけてきたか分からない。この瞳を。 物心付いた頃、久音の母は久音に眼帯を着けるようにと言った。それは、久音を思ってなのか、世間体を考えてなのか、分からなかった久音だったが「はい」と言って、それからは自分の家で以外は外す事は無かったのに今日に限って忘れるなんて、久音にとって最大の失敗だ。 久音が後退していくのを見ていた由紀はその後を追いかけて手を掴んだ。 「…あ…。」 「どうしたの? 神崎くん。」 首を傾げながら聞く由紀の顔を見れずに久音は下を向いて黙る。 「……」 「……」 黙り続ける久音を見て由紀は手を離した。 「……綺麗だね」 「え…?」 由紀の一言に驚いて頭を上げた久音を由紀は見つめてこう言った。 「綺麗って言ったのよ。瞳の色が…」 「……あ、ありがとう」 何がどうなっているのか分からない久音は取り合えずそう告げると同時ぐらいに予鈴が学園中に響き渡った。 二人はそのまま別れた。 (冬木…さん。…何だか懐かしい感じがしたなぁ…。) 久音は教室に行く前に制服に入っている予備の眼帯を取り出し着け終わると教室に行き、いつも通りクラスメートと話をしながら担任が来るまで待った。 その担任が由紀を連れてきたことは言うまでもない。 |
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