アイシテル、そして、有り難う。 |
作者: 夏冬 2010年01月04日(月) 00時21分12秒公開 ID:6leafgn7tLE |
アイシテルということは、僕にすべてを 注いでくれる、ということ。 アイシテルということは、私の心を こじ開けてくれる、ということ。 嗚呼、アイシテルとは、素晴らしい。 ******************************************************************* 「ねぇ、お金。貸して?」 「・・・また?」 アイシテルんだから、いいじゃない? 彼の目が、そう言っている。 「後で返すよ、ね?」 「・・・わかった、返してよね?」 そういって、私は財布から一万を取り出した。 アイシテルって、都合のいい言葉。 「有り難う、な?」 彼は、目を細くして笑った。 『アイシテル』 そういって、私にキスをした。 ********************************************************************* 「ねぇ、ネックレスが欲しい」 「・・・また?」 愛してるんだから、いいじゃない? 彼女の目が、そう言っている。 「いいじゃない、ね?」 だから、お金が無くなるんだよ。 僕は、その言葉を飲んだ。 「わかった、安いのでよければ」 安いのっても、最低三万。 堪ったもんじゃない。 愛してるって、何だっけ? 「アリガトウ、ね?」 感情のない、アリガトウ。 彼女は、目を細くして笑った。 『愛してる』 そういって、僕にキスをした。 ********************************************************************* 「ねぇ、別れよう」 「えぇ、そうね」 別れ話は、スンナリ進んだ。 「有り難う、アイシテタ」 「愛してた、アリガトウ」 僕たちは、お互いの顔を見て、最後にそう言った。 どちらがどちらの言葉なのか。 君たちには、すぐにわかっただろう? でも、僕たちには、わからなかった。 『愛してる、有り難う』 心から、そう言える人間になりたい、そう思うんだ。 終わり |
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