閉ざされた扉 ACT.1 高嶺の花
作者: 美桜  [Home]   2010年01月06日(水) 00時57分42秒公開   ID:2mLUmPkg9yE


桜が美しく咲き誇る季節、春。
風華学園に在住の宮田璃玖と緋月詩葉は今年から中等部から高等部へと移動する者だった。
しかし、彼女達と他生徒は迷路のように広いこの高等部で迷子になってしまった。


閉ざされた扉 ACT.1 高嶺の花


「詩葉、此処って何処なの?」
「何故私に聞くのだ。璃玖、私が方向音痴なのを知っているだろう」
「あ…忘れてた」

頭を掻きながらエヘヘと笑う。
しかし、この迷っているメンバーはこんな事をしている場合じゃない。これから風華学園高等部で行われる入学式に参加をしなければいけない。
それに詩葉は新入生代表としてステージに立たないと行けないのだ。

けど初めて来た高等部だったのでだれ一人体育館へと行き方を知らない。
詩葉は何回も来たことあるらしいが方向音痴な為に全く利用できなかった。


「だれか先輩でも呼び出そうか?」
「それは駄目……行動が素早いよ」

既に携帯電話を取りだして何処かに連絡をしていた。
しかも「向かえにこい」そういって電話を切った。
詩葉はランク金なので命令をしたら一発なのは璃玖も分かっている。

ランクとはこの風華学園に決められた階級と入っても良いだろう。
階級には3つがある。それが高い順に金、銀、銅だ。
その為、金以下の銀と銅を詩葉は自由に召し使いのように扱うことができるのだ。
ちなみに璃玖は一番ランクの低い銅だった。しかし、ランクに囚われずに違う階級同士が仲良くするのは当たり前だった。
だからこうして金と銅とお互いに仲良くできるのだ。


「詩葉!お前は何でこんな裏側にいるんだ!!」

とおでこに包帯を巻いた人物が現れた。名前は鏡音空だ。しかもランクが金でもあり――この風華学園高等部生徒会副会長だった。
正体を知った途端に詩葉以外の迷子メンバーが御辞儀をした。
先ほど話したが空も金なのだが、生徒会は特別だった。何せ自分達の学園生活に関係するのだから。
だがお構いなしにどうどうとしている詩葉もすごいのだが。


「何故かってお前は私の従姉妹だから良く知っているだろう?」
「知っているが……この他の生徒もお前の方向音痴が巻き込んだのか」
「たぶんな」

二人の言い争いに近いことが始まってしまった。
しかし暫く止みそうもなかった。
璃玖は喧嘩をしているのを見ていたが、時間が時間なので成敗に入った。

「詩葉も副会長もやめてください。いい加減にしないと入学式が始まってしまいます」

「「あ……」」

(まさか忘れていたのか!!)が見ていた者の突っ込みだった。
その後に入学式の始まりを告げるチャイムが高等部いや風華学園に鳴り響くほどの大きな音だった。

「空、早く体育館へと案内しろ。私は新入生代表でスピーチをしなければならないのだ」
「まじか!仕方ねぇそこのお前達これから走るからついてこいよ!!!!」

空はそう言い捨てて走り始めた。
その後につづいて詩葉と他生徒と続いていた。
璃玖かと言うといつの間にか空の隣で笑顔で余裕扱いて走っていた。

(あの詩葉の友達だからやっぱりすごいな by空)








「次は新入生代表のスピーチです。緋月詩葉さんお願いします」
「はい」

空と璃玖達迷子だったメンバーはギリギリ始める所に入ってきた。
もちろん詩葉も間に合った。
入った時はなんだお前等、みたいな眼で一瞬見られたが鏡音空の存在のお陰で視線を感じることがなくなり自分の席に座る。
こうして入学式が無事に始まり新入生代表として喋っている。


こうして職員紹介へと移り、最後の一番のメインの生徒会役員発表へと移る。
騒ぐ者、隣と喋る者など沢山いたが――風華学園高等部生徒会長の星野有希がステージにあがった途端に生徒が一斉に静かになる。
なんだって会長に脅威を出したらいっぱつだからだ。

(やっぱり会長って高嶺の花だよなあ)

そう璃玖は思う。
どんなに手を伸ばしても決して届かない誇り高き花のような方が星野有希である。
また有希は紫陽花の君と言う異名も持っていたりしてとにかく凄い人物なのは確かである。

「次期生徒会を発表する。呼ばれた者はステージに上がってこい」

命令口調で言う。
それが会長らしい凛々しさだと思う。

「生徒会副会長――鏡音空」
「はい」

前回でも生徒会副会長をやっていた空は当たり前だと思う。
全校生徒に向かってピースをしている。

「生徒会会計――香宮潮」
「はーい!」

こちらも同じく前回から役職を引き継いでいる。
とても笑顔が可愛らしい。

「生徒会書記――緋月詩葉」
「……」

無口で立ち上がってステージへ向かう。


「生徒会役員――藤間郁」
「あっはい」

身長の低い少年だった。
確か会長の付き人だった気がする。


「これでラストだ。同じく生徒会役員は―――」















■作者からのメッセージ

閉ざされた扉 ACT.2 新生徒会

新しく決まった生徒会。
たった一人だけ意外な人物だった。

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