友のために麗羽は生きる(\)
作者: 美月   2010年01月11日(月) 18時58分26秒公開   ID:Ee3yYWMigJ6





「ここはどういう世界なの?」



「「は?」」



桜と一人は同時に答える





「本当に何も知らないんだな。記憶喪失?」



「ううん。でも知りたい。教えて。」



麗羽(鈴風)には知らないことが多すぎた



「まず身分については知ってるか?」



「『王貴徒愚』なら・・・。」


桜は怪訝そうな顔をした



「えっと・・・こっちは『王貴民愚』だ。」


「民?」



桜は大きく身振り手振りをする



「普通の人間のことだ。俺達、旅人は何にも入らない。自由で響きは良いが、軍にいつも取り締まられる。」



「軍って?」



麗羽は自分の世界にはない身分に興奮しながら聞いた



「・・・お前何も知らないんだな。他の国からこの国を護る軍団のことだよ。身分は貴族と同等といってもいい。」



「今の王は誰?」



「それは・・・・・・。」


桜が言葉を濁らせる



「皇 翔音(すめらぎ しょうおん)だ。」



代わりに一人が答えた




「へえ〜。・・・で、なんで桜は答えられなかったの?」



「忘れていたにすぎない。」


「俺が馬鹿みたいだろっ!!?」



桜が顔を赤らめてまた突っ込んだ



「馬鹿なのは本当だろ。前に1ケタの足し算を本気で間違えていた。」



「言うなぁあ!!!」







「・・・ぷっ!」



麗羽は思わず笑ってしまった





「あ、笑った。」


「カメラ、カメラ。」



「撮らんでいい。」




「・・・・!」




麗羽はまたいつかのことを思い出した




























クラスになじめず、暗くなっていた時だった


―そんなに暗い顔してる人と話すなんてできないよ。―


そう言って麗羽は笑う



―さ、笑って笑って!―


そうして鈴風(りんか)の頬を吊り上げる


―笑わないと私みたいな『お邪魔虫』しか寄ってこなくなるよ〜!―


























「ねえ・・・旅って、次はどこに行くの?」



「ん?」



「私もついて行きたいから・・・。」





桜はニコッと笑う



「次は・・・すごく寒い町だ。」









「すごく・・・・寒い町?」


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