沈黙の心とその笑顔に 5
作者: 檸檬  [Home]   2009年12月26日(土) 20時38分35秒公開   ID:xadqGTcF5PQ



「どうしようか・・・」

「ごめんね、あたしん家は無理なんだ〜」

椎名阿亜湖もとい「しぃ」が謝る

「ごめん、その日は、お客様が家に来るから」

希有も重ねて謝る

「困ったことになったわね。 会場が無いなら元も子も無いじゃないの」

碧の冷徹な言葉が更に重なる

「碧の家はどうなの?」

「・・・・・・、私の家に上がるの?」

「駄目なの?」

「・・・・・・家の母親のハイテンションに耐えられるなら」

溜め息交じりの声だった

「はぃ!? 何だそれ!」

「家の母親、元ヤンキーなこともあってか、無駄にテンションが高いのよ、いつも」

「へぇ、素敵なお母さんだねぇ」

「そうかしら?」

「うん! 真央もそういう人好きだもんね★」

「じゃあ、お母さんに許可を貰ってきてくれる?」

希有が碧に訊く

「そうね、分かった」

碧が頷いた





「それじゃあ、倖さん、頼んだわよ」

「・・・、うん・・・

  分かった・・・・・・」






「あれ? 碧は? クラッカー誰が買うか話したかったのに」

希有が亜湖に訊く

今は昼休み

「碧? なんか、倖さんに呼ばれてるみたいで、待ち合わせ場所に行ったよ」

「何処?」

「それが『誰にも言わないでって言われてるから言わない』だとさぁ。 意外に律儀だよね、碧」

「そっか・・・じゃあ待ってるしかないかぁ」





「何処かしら・・・」

中庭で、碧は、倖彩夏の姿を探していた

「寒いわね・・・」

そう呟いた時だった



――――――バシャアッ!!




「え?」


・・・濡れてる・・・





■作者からのメッセージ
オセロのような世界だと思う、今あたし達が生きているこの世界は・・・
うっかりすると黒に染め上げられてしまうが、白に戻ることも可能。
また、白い光と黒い影が共存しているという意味でも、この世はオセロだと思う。

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