フェアリーテイル 第15話 黒百合家の昼下がり。
作者: モモ   2010年02月20日(土) 13時06分06秒公開   ID:.YGsdf.9cjE
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「こんにちはー。愛、あるものを届けに来たよー。」

ピーンポーンと黒百合家のインターホンが鳴って、ドアが開いたのはお昼ごろのこと。

「はぁ〜い」

奥の台所からエプロンをした野中優のなかゆうが出てきた。

「あれ、愛は?」

黒百合家に訪れたスーツ姿の女の人は、ハイヒールを脱ぐと、黒百合家の人と思われる人の名前を呼びながら、優に無断で家の中へ入っていった。

「お母様はいま仕事中ですわ。」
「そうなんだ。夕方くればよかったかな〜。」

その女の人はスタイルがよく、ソファーに寄りかかると、その辺にあったテレビのリモコンを持ってバラエティ番組を見始めた。

茉莉紗まりささん、お昼ご飯食べていかない?もうすぐ出来上がるところなのだけど…」
「ありがと。食べていく。」
「そいえば、茉莉乃まりのは?」

そう言うとバラエティがつまらなかったらしく、テレビを消して、階段を上がって誰かを探しに行った。

「まりちゃんは公園に一人であそびに行ったわ〜」

階段の方を向いて優は言う。

「一人で?遊ぶ友達いるのかなあの子はー」

優の声を聴いた、茉莉紗という女の人は階段を降りてきた。


「茉莉紗さん、お仕事の帰りだった?」
「ううん、午後から授業。今日は文化祭の打ち合わせなんだって。」
「そうなの。」
「大変なんだよ、男子らがうるさくてさ〜」
「フフっ、そんなことおっしゃらないで。しょうがないじゃないそう言うものなんだから。」
「うーん、まぁそうなんだけど、どうやったらまとめられるかなーって。」

優と茉莉紗がカウンター越しに雑談しているところに、ドアが開く音が聞こえた。

「あ、まりちゃんおかえりっ♪」

ドアから入ってきたのは、容姿が小学生ぐらいの女の子。

「ゆうお姉さま、ただいまですわ」
「おかえりなさい♪いまちょうどお昼ごはんが出来たのよ。」

まりちゃんと呼ばれた女の子は、ワンピースの裾を上げて優雅に一礼する。
優はお皿にご飯を盛りつけながら女の子に話しかけている。

「まりちゃんの好きなハンバーグ♪」
「やったぁ!」

ぴょんぴょん跳ねながらリビングに行くと、カウンターに寄りかかって話していた茉莉紗を見ると態度が一変、いやな顔をしてソファーに座った。

「あら、お母さん、いたの。」
「優ちゃんのことは、「お姉さま〜」なのに、私はお母さんねぇ。お母様って呼んでくれる日はこないのかなぁ〜」
「お母さんのことお母様なんて言わないもーん。」
「かわいくない子。」

女の子はぷいっと頬をふくらませると、足をバタバタさせて自分でつけたテレビを見ている。

「まぁまぁ、けんかはそこまで。まりちゃんハンバーグ食べましょ。」
「はい、お姉さま!」

優に名前を呼ばれるとまたご機嫌になってテーブルについた。



「茉莉乃、公園に何しに言ったの?」

優にまりちゃんと呼ばれていた茉莉乃は、ご飯を夢中で食べながら茉莉紗の質問に答える。

「別にぃ〜」
「何か目的あるでしょ?あんた友達いないから。」
「友達いないなんてしつれいな!ちゃんと友達はいますよ〜」

最後のハンバーグのかけら食べ終わると、箸を置いて、手を組んでキラキラした目で上を見つめると語りだした。

「女の子を観察しに行ったの。今日は幼稚園児の女の子がいたわ。かわいい制服でブランコやシーソーで遊んでいたわ。何気ない風景だけどキラキラかがやいて見えて・・・」
「はいはい、変な妄想は終わり〜。」

熱弁している茉莉乃にさらっとつっこみを入れる。

「変な妄想じゃないもんっ。お姉さまは分かってくれますよね?ね?」
「そうね〜、想像はいいことよ〜。脳が活性化されるし。」
「そうですよね!ほら、お姉さまは分かってらっしゃる。」
「優ちゃんは茉莉乃のために、」
「お母さんの分からずやっ」

そういうと、椅子から降りて2階に上がっていった。

「ほら、茉莉乃、ちゃんとごちそうさましなさい。」
「まりちゃんお行儀悪いわよ〜。」
「はぁ〜い」

階段を一回下りて、

「ごちそう様でした、お姉さま。おいしかったですわ♪」

さっきのようにスカートの裾を上げて優に礼をすると、また階段を上がっていった。

「はい、お粗末さまでした♪」

優は立ち上がると、茉莉乃と自分の分のお皿を持ってキッチンに行き、お皿を洗い始めた。
それにつづいて茉莉紗も立ち上がると、玄関に行った。

「そろそろ私も帰るわ。打ち合わせも始まるし。」
「分かったわ。それでも、礼の物をお母様に渡して置きますわね。」
「よろしく。詳しいことは電話で。」
「はい。」

ハイヒールを履くと、外に出て行った。

「お仕事頑張って下さいね〜♪」

笑顔で茉莉紗を送ると、洗い終えたお皿をしまって、奥の部屋へと入っていった。



「さぁ、礼の物はどうなっているのかしら。お母様に渡す前にわたくしがチェックを―」


優が茉莉紗から受け取った品物を確認しようと箱を開けると……、





⇒To Be Continued...

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