チビドロ
作者: 冷夏   2010年03月13日(土) 21時23分07秒公開   ID:ov6RKaAr3rc



=5= 失ったモノ


<杉下歌染 目線>


俺の名前は杉下 歌染(すぎした かしむ)


ある高校の教師をやっている


今は学校に行く途中だ


車の中でガムを食べる


居眠りしそうだから・・・


俺の担任しているクラスは良い子達ばかりだ


優しい心を持っている光


友達想いの霧哉


頑固だが・・・麗


生徒会執行部の綾


などなど・・・(以下省略)


新任だからか良いクラスを持たせてもらっているわけだ


さて、俺には愛しの妹がいる


違うクラスなのが何よりの欠点だが・・・


「杉下先生ー。」


お、来た来た


俺の愛しの妹・・・


「雑誌は5種類買った?後ね〜安い服は必ずチェックね?」


杉下 未来!


生徒会執行部という誇りある仕事を任せられている


ああ・・・天才だ・・・・・我が妹よ・・・・・


これから俺の一日が始まる


まずは朝礼からだ


〜〜〜〜☆〜〜〜〜★〜〜〜〜☆〜〜〜〜★〜〜〜〜


今日も一日が終わったー!


俺は思いっきり背伸びをする


「杉下先生はいつも清清しいですね。(笑)」


先輩がそんなことを言ってきた


「はい。この仕事は僕の生きがいですから!」


〜〜〜〜☆〜〜〜〜★〜〜〜〜☆〜〜〜〜★〜〜〜〜


・・・・


今日俺はとんでもないものを見ている


夜の帰り道


煙のような黒い動くものが人影と一緒にいる


目をこすってみてもその事実は変わらない


「誰だい!?」


俺は走った


興味からか恐れはなかった


「あの!」


俺はそこで止まると


「先・・・生・・・・・?」


俺のクラスの光だった


「おお、光。この辺に変な黒い煙出してる人がいなかったか?」


「え?見ませんでしたけど・・・。ねえ?麗。」


む?


光の影には麗がいた


そうか・・・


光と麗は仲が良かったな


「おっかしいな〜・・・。」


確かに見たんだが・・・


「疲れてるんじゃないですか?」


「・・・そうかもしれん。もう俺は家に帰る!」


「あはは。(笑)さようなら。」


「おう!お前らもな。」


〜〜〜〜☆〜〜〜〜★〜〜〜〜☆〜〜〜〜★〜〜〜〜


「危なかった・・・。」


光は静かに言った


〜〜〜〜☆〜〜〜〜★〜〜〜〜☆〜〜〜〜★〜〜〜〜


「ただいま。」


俺は家のドアを開ける


妹とは兄弟だからといって一緒に住んでいるわけではない


俺は結婚している


「おかえりなさい、あなた。」


「ただいま、裕子。」


自分の足に駆け寄ってくる小さい体もあった


「おかえり!パパ!」


「ただいま!椎奈!」


俺はわが子を抱きしめた


笑顔のかわいい子供


優しい妻


すべてがうまくいっている


「パパ!今日ね!私、テストで100点とったんだよ!」


「おお!すごいな〜!」


俺は娘の頭をなでてあげる


ほんとにかわいいな〜・・・


「あなた。お風呂なら沸いてますよ。」


「ありがとう。裕子、ご飯もその後にすぐ食べるから。」


「はい。」


俺はまた娘に視線を戻す


「ではでは椎奈ちゃん、パパはお風呂に入ってきますよ〜♪」


「うん!パパ大好き!」


「あはははは。」







     ―パパ大好き!―







  おい・・・・待てよ・・・・・・










         




        ―サヨウナラ―







    待てったら!!!!!





「・・・・・!」


俺は我に帰った


家の中は暗く静まり返っている


玄関の鏡を見てみた


相変わらず写っているのは自分だけ・・・


そうか・・・


いないのか


妻も・・・娘も・・・・・







死んだんだっけか・・・







―あなた、私と椎奈は買い物に行ってきますから。―



いってらっしゃい。



―パパ!帰ったらパパの誕生日会してあげる!―



ありがとう。気をつけて行ってこいよ。



―いってきます!―










ザザザザザザザザザザザザザザザザ!!!!!!





―みなさん!下がってください!―



現場から聞こえる警察の声



―車から遺体として発見されたのは母と子共の2人だそうです。―



いつも聞こえるテレビのニュース



―原因は飲酒運転で―



ふざけんな




ふざけるな!!




戻って来い!


妻の・・・娘の・・・・・







顔を見せてくれ








『この仕事は僕の生きがいですから!』


■作者からのメッセージ
少し悲しいお話になってしまった・・・・

許してください。。。

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