3z銀八先生 沖神 |
作者: 檸檬 2010年04月17日(土) 23時21分36秒公開 ID:RUELGlKQEEI |
(神楽目線) 「おはよー」 私はいつも通りの平々凡々の挨拶をしてドアを開けた 3年Z組のドア。 スライド式で窓付き。 その向こうにいるのは、私の思い人。 ・・・なーんて、 「ちっ、サド野郎がまたいるネ」 「よォ似非チャイナ、眼鏡だせーな」 「うっせーヨ!」 口が裂けても(少なくともこの関係じゃあ)言えないな、到底・・・。 少し寂しいけれど、あいつと今以下の関係になりたくない。 きまずくなる。 話さなくなる。 それが、 溜らなく怖い。 確かに私らしくないだろう、でも、恋は女を変えるというから、多分その所為だろうな。 「おい、どーした?」 「ぎゃっ!!」 ・・・何てことを、放課後にまでずぅっと考えていた私は、どうやらぼーっとしていたらしい。 此処は下駄箱。 私は後ろから急に声を掛けられたのだ。 やっと脳が正常に機能し始める。 この声・・・、 ・・・サド!? 「なっ、何するネ! 心臓が割れるかと思ったアル!」 「何してんの、はこっちの台詞でィ。なんでィ、今日はずーっと上の空で俺のからかいすら無視しやがってコノヤロー」 「え・・・」 いつの間に・・・。 「・・・悪かったアル。 ちょいと考え事してたネ」 取り敢えずこれは無視した私が悪い。 謝っておこ。 「考え事・・・」 反芻するように呟いたあいつは、やがて「何なんでィ?」と言った。 「は?」 「考えてたことって何ですかィ、って訊いてるんでィ」 「・・・・・・」 ・・・言えるかコノヤロー!!! 「俺のこととか?」 なぁんてあいつは冗談交じりに言うけど、こっちは恥ずかしくて、また脳が機能しなくなってくる。 「・・・っ・・・!!」 そして、 言っちゃった。 「・・・そーだヨ! 私の頭にはお前しかいないアル!!!」 ・・・。 ・・・・・・。 ・・・・・・・・・。 「「・・・え?」」 声がハモった。 私の顔が火照ってるのが分かった。 だけど、沖田の顔もいつもより赤い。 そして何処かに目を逸らしてる。 ・・・凄く、逃げたい。 でも・・・。 此処で逃げたら、それこそ何もかも終わっちゃいそうで。 嫌だ。 だから、逃げないよ。 「わ・・・私は、えっと・・・何というか・・・」 でも、言いたい言葉が出てこない。 すると、目先から声がした。 「・・・からかわれてもかィ?」 「・・・それでもいいネ」 「罵られても?」 「この際ちょっとなら許すアル」 「・・・・・・。 ふーん・・・」 そこであいつは、やっと、私にピントを合わせた。 そして、顔を引き締めて、あいつは言った。 「・・・俺も、好き、でさァ」 ブツンブツン切れている。 歯切れが悪い。 でも・・・。 私が、 一番、 欲しかった答えだった。 「・・・・・・」 「・・・チャイナ?」 「・・・私の何処がいいアルカ」 「え・・・ちっこくて、明るくて・・・?」 「そんで?」 「可愛いから?」 ぼろっ。 私の目から、唐突に零れた物は、涙だった。 「――――――おっ、おき・・・」 「・・・!?」 これには、流石の沖田も驚いたようだ。 「・・・おい・・・」 返す言葉が見当たらない、といった表情をしている。 見たことも無い顔だった。 「嬉しいアルぅ〜・・・私、ボンキュッボンになって、お前とつり合う女になるネ!」 「・・・いや別に、そんな体系になんなくてもいいんだけどねィ」 あいつは、笑っていた。 「お前、顔ぐしゃぐしゃ」 「うるさいネ!!」 でも、いつの間にか、私も笑顔になっていた。 ドS、サボり魔、マイペース。 いつも私につっかかってくる敵。 でも私は、やっぱり、その存在を愛おしく思う。 いつか、あいつと日直でペアになって、黒板に相合傘で私たちの名を書いてやるネ! 「やめろ、気持ち悪い」 あ、言っちゃってた。 end |
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