チビドロ
作者: 冷夏   2010年04月22日(木) 19時50分26秒公開   ID:m5M8TG0eh.A


=12= 


<日向光 目線>


「麗〜、浴衣ちょー似合ってる〜www」


「キモい、キショい、離れろ、死ね。」


どんなにトゲトゲしい麗でも浴衣は似合っている。


「光君、私は・・・どう?」


話しかけてきたのは綾だった。


綾もよく似合っている。


「すごく似合ってる!」


「・・・ありがとう。」


綾は赤面して霧哉に隠れた。


霧哉・・・お前は綾のお兄ちゃんか何かか?


綾ももう少し楽しめばいいのに・・・。


ってか僕って嫌われてるのかな。


「・・・光。」


珍しく麗が話しかけてきた。


すっかり心が晴れた僕。


「何だい?麗。」


「あれ。」


「ん?」


麗が指を向けたのは金魚すくいだった。


「金魚すくいがやりたいの?」


麗はうなずく。


そうか・・・。麗はずっと何かを飼いたがっていたな〜。


「いいよ!僕がお金を出してあげる。水槽もここで買おう。」


麗はうなずいた。


「おもしろそうじゃん。金魚すくいで競争しねぇか?」


そう言ったのは霧哉だった。


「いいね〜。言っとくけど僕は強いよ?」


「じゃあ俺も言っておくが、俺のほうが強い。」


僕達は見えない火花を散らしながら闘争心を燃やしていた。


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「ルールは簡単。一番多く捕った人の勝ちよ!」


麗ははしゃぎながらそう言った。


ちなみに審判は綾である。


「制限時間はどうする?」


霧哉が綾に聞く。


「じゃあ3分とかでいいのでは?」


綾はなかなかの名案を言ったのでついに勝負が始まった。


「用意・・・スタートッッ!」


綾の声と共に僕達はスタートした。


網が破れたら終了である。


ちなみに僕はスタート後13秒で網が破れたので即退散である。


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結果・・・


麗が11匹。


霧哉が7匹で


麗の勝ち。


僕は0匹となった・・・。


しかし優しいおっちゃんは1匹くれた。


なんと慈悲深い・・・。




「おー、お前等も来てたのかー。」


話しかけてきたのは


通称:会長の澤井 翔平である。


その後ろにゾロゾロと


杉下 未来


東郷 アスマ


柴崎 ニラが続いていた。


「すごいねー。麗は11匹も!」


未来は僕の(?)麗と肩を組み始めた。


うん・・・この人も浴衣が似合っている。


ニラは相変わらずのベビーフェイスで綿飴を食べていた。


アスマは出店のアドベンチャーゲームでハイスコアを記録していた。


「会長達も遊びに?」


僕は聞いた。


「いいや?俺達は校長のご命令で見回りだよ。遊んでる暇なんて・・・。」


会長が言いかけた瞬間・・・


「ちょっとー!これってボッタクリじゃない!?300円も払ったのにー!」


と未来が雄叫びをあげ、


「よっしゃー!!ハイスコアまたっすよー!!」


とアスマが歓喜の声をあげていた。


「・・・・。」


ちなみにニラはお面を買っていた。


「遊んでるやん。」


「ああ・・・。」


俺の入れた地味なツッコミに会長はただ返事をしていた。


「ってか!そういえばお前!仕事さぼんなよ!これは生徒会の仕事だぞ!」


「えっ?あっ・・・すいません!」


なんだかんだで綾は会長に連れて行かれた。


生徒会メンバーと別れた後


僕達はいろんなことをやった。


射的。


輪投げ。


飲食。


などなど・・・。


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そしていよいよ花火だ。


じゃんけんで負けた僕のおごりで花火を買い


みんなで空き地に集まった。


ロケット花火。


線香花火。


打ち上げ花火などなど・・・。


線香花火をしても僕はすぐに落ちる。


麗はいつまでも落ちることはなく


消えるときもそのまま消えた。


今日、麗は何回笑っただろうか・・・。


10回以上は絶対に笑った。


僕は間違っていないと信じていたい。


たとえ麗が・・・少し僕らと違うとしても麗は麗だ。







昔、僕の祖父がやっていた実験の・・・・・・・。




・・・いや、今はこのことを忘れよう。


今は楽しもう。


精一杯に。


いずれ楽しめなくなるときが来るかもしれない。


それを望みたくない。


でもいつかは来る。


みんながそれぞれの道を歩み


いずれは顔も忘れられていく可能性がある。


だから今は楽しもう。


でも麗はいつまでも一緒にいられる。


僕は予知能力がないが、これは確かだ。


麗は普通の人間じゃない。


でも人間として・・・。


麗として・・・。


君として・・・。





I LOVE YOU・・・・




           あなたを愛してる。




■作者からのメッセージ
夏祭りはやっぱり思い出に残ることがたくさんあります!
そういうお話でもあります・・・。

でももう一つ、このお話を作ったわけがあります。
文章中のキーワードを読めばすぐにわかります。

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