ジュエルプリンセスMiracle 第14話 アイオライト
作者: 夏姫 みの  [Home]   2010年04月24日(土) 15時28分29秒公開   ID:bkWoewa3Plc
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「話したい事があるの。鳴課なるか日向ひなたくんのことで」




由梨ゆりは真剣な眼差しを向けて言う。

「……実は私、ブラックローズ学園の旧校舎に侵入したことあるの。秀と詩羽さんがいなくなった少し後にね」
「へっ?」

生徒会全員が驚く。


「それで浸入したときにはビックリしたわ。紫色の花びらがミサイルのように飛んできた。ギリギリよけたけど。それでミサイルが収まったとき正面を見たら鳴課と、まだ正気の日向くんがいた。でも日向くんは気を失ってるように見えたわ
「で、でも何で救えなかったの?」

叶氣かなきは言う。








「――遅かったの」







その言葉と同時に由梨は悲しげな顔になる。


もう遅かったのよ、私が来たときは。でも私は必死で鳴課を引き止めた。「もうこんなことはしないで」、と。それから私は鳴課にナイフのような刃物で、胸を刺されて気を失って……。それ以来、何も覚えてないわ。後は夢の中での出来事……有理と会って私はこのように復活したわ。それだけよ」

由梨は今までの事を言う。叶氣たちは言葉が出ない。
 由梨は、鳴課の言葉を思い出す。



「由梨さん、ゴメンね? 貴方には消えてもらわなくちゃね。私の計画に」



あの言葉と、あの鳴課は怖かったと、由梨は思う。外から見れば平気なように思えるが、内心はすごく怖かったのだ。

「あ、そうだっ!! 詩羽たん、ちょっと疑問があるけどいいかなー?」

詩羽しうの元気なタメ口が、ズシリと重い空気を一気に軽くさせた。皆驚く。

「何?」

由梨が返す。

「いや、別に日向先輩と鳴課さんのことではないんだけど、昔から疑問があって。まず、鳴課さんは哀瑠あいるさんの子でしょ。でも、哀瑠さんが姫様プリンセスの敵だったときは鳴課さんは正気だった。それから哀梨さんが姫様たちの敵でも、鳴課さんは正気だったよね?
「はい」

哀瑠は言う。

「じゃあなんで黒百合くろゆり家だけ極悪っていうか……なんで狂ってるの? 狂った原因とかを知りたい」
「確かに……。だって、狂う前はみんな正気だった。そもそもなんで狂ったんだろ」


詩羽と叶氣は言う。哀瑠は何かを思い出して次の瞬間、こう言った。




「きっと取り付かれたと思うの。アイオライトの呪いにね」




「えっ?!」


これにも皆驚く。

「……黒百合家には昔ね、宝石の研究をしていた人がいるの。名前は黒百合 美香みか

哀梨の言葉に由梨としゅうは何かを思い出した。

「それって初代ブラックローズ学園の学園長よね? 秀」
「ああ。黒百合 美香さん。綺麗な人と騒がれていたらしい、優秀な宝石の科学者。そして……










初代ジュエルプリンセス。すなわち姫様のご先祖様に当たる」











「わ、私のご先祖様〜〜〜〜〜〜?!!!!」

 叶氣は腰を抜かす。何しろ自分のご先祖様が黒百合家とつながっているのだ。ということは、自分も黒百合家と何かしらの関係があり、鳴課とも友達以外に別の関係があるということになる。

「まあっ。姫様と黒百合家に、そんな関係が」
「そうです。知らなかったです」

有紀ゆうき桃奈ももなは言う。

「そんなに驚くことかしら」

由梨はツンとして言う。

「聞いてなかった? お母様から」

哀梨は言う。

「だだだだ、だって、そんなこと聞いてないよ。そんな事を知らずに今まで生きてたんだよ?!」

叶氣は言う。頭が真っ白で、しかも何言っていいのか、わからなくなってくる。

「はぁ……まったく。今現在の宝石の王女ジュエルクイーンは、ちょっと酷いからねぇ」
「は、母がご迷惑かけたようでしたら、本当にすみません!!」


 叶氣は顔が真っ赤にして謝る。母が子供っぽいのは、自分でもよくわかる。確かに本当に酷い。これが宝石の王女なのか? と、宝石の姫様の自分からでも、いいたいほどだ。

「いいのよ、大丈夫。貴方みたいな宝石の姫様なら、宝石の女王になる資格はある」
「そ、そうですか。ありがとうございます」

叶氣は浅くお辞儀をする。

「さて、話を戻すよ。秀が言ったとおり、美香さんは初代ジュエルプリンセスでもあり、その後はジュエルクイーンとなったが、宝石の研究の毎日を送っていたらしい。そして、黒百合家の始まりとなった、初代ジュエルプリンス……黒百合 瑠惟るいは美香さんとお見合い結婚。だが、この時から呪いが始まっていた……




 一切人間たちが立ち入りすることを禁じられた庭。庭は薄暗くて広い。一言で言うと「不気味」だ。そして噂でアイオライトの呪いの事が流れていた。
 だが瑠惟はジュエルプリンスの権力を使って、その庭に入ったのだった。危険だと知っても、足を踏み入れた。美香も研究者として、ジュエルクイーンの権力を使って入った。
 薄暗い庭の中を二人は歩く。そして、紫色に光るものを瑠惟は最初に見つけた。そして近寄って触れてみた。すると……



「うわっ……!!」



強い光が瑠惟を襲う。それに気づいた美香は、瑠惟のところに駆け寄る。


「どうしたの?!」


 美香は言う。そのときは遅かった。変わったジュエリーチェンジをしていた瑠惟がいた。例えるならば「闇の帝王」だ。触れる事を一切禁じられている真っ黒な宝石……アイオライトを手にして、瑠惟は不気味に笑っていたのだった。


「宝石の世界を支配してやる……。そして、お前をまずは倒す!!」


突然襲い掛かってくる攻撃。あまりにも早すぎて、美香は避けられなかった。






「きゃああああああっ…………!!!!!」









……それ以来、宝石の世界は闇に染まり始めた。だけど二代目ジュエルクイーンがジュエルプリンセスだったとき、宝石の世界が闇の世界になる寸前に悔い止めた……っていう説があるんだけどね。説が倍以上に長いから、だいぶ省いたけど。でも、私たちは触れては無くてアイオライトの光に当たったの。強い光なんだけどね

「え、でも当たらなければよかったでしょう」

有紀は言う。

「確かにそうだね。でもね一般の人が見ただけでも、もう遅いのよ。例えるなら、アイオライトはメデューサみたいな役割をしているわ。メデューサは見ると石化するって言うのと、アイオライトは見ると呪いにかかる……みたいな。鳴課は、きっとアイオライト見て、あんな風になったんしょうね。硬く禁止されてる部屋に入りたくて前から仕方が無かったから、自分の力できっと……」

哀瑠は語った。

「そ、それじゃあ陽もきっとアイオライトを…」
「日向くんはアイオライトに触れても無いわ。それに気を失ってたから見ても無い。でもなぜああなったか、よくわからないのよ」

由梨は言う。哀梨はもしかしてと思った。

「もしかしたら、アイオライトの能力かも……!!」
「えっ?」

皆、哀梨のほうに視線を向ける。

「鳴課がアイオライトに取り付かれてるから、アイオライトの能力は使えるはずよ」
「確かにそうね。もしかしたらそれで日向くんは……っていうこともありえるわ」

由梨は言う。皆も納得がいったようにうなずく。

「でも、アイオライトの弱点って?」
「――光よ」


詩羽の問いかけに、哀梨が答える。そのまま哀梨は続ける。

「だって、悪の私や姉さんを倒したもの、それは光。貴方の持ってるムーンストーンは、かなりの力を発揮できる」
「私の、ムーンストーン……」

 叶氣はムーンストーンのジュエリーチェンジを思い出す。あのフワフワな衣装、まるで天使みたいなようなものだ。


「ええ。鳴課と日向くんを救えるのは







貴方しかいないの」






――そう。貴方しかいない。





「えっ……」






懐かしい声が、叶氣の心の中に響く。


「姫様だったら大丈夫ですわ。きっと二人を救ってくれる。皆信じてます」


桃奈は微笑む。

「はい」
「救って」
「うんっ!! 姫様なら、きっとやれるって!! あ、後」


詩羽は叶氣の耳元で



「お兄ちゃんの、恋人的存在の人も救ってね♪」



こう囁いた。


「へ?」

(恋人的存在って鳴課ちゃんのこと?! いや……でもあの時…)


叶氣は少々考える。


「でも、こうやって貴方を応援してくれる人がいるわ。そして、私や哀瑠さんや哀梨さんも信じてる。



貴方が二人を救ってくれる事を」



由梨は言う。叶氣は笑顔で



「うん!! 頑張るね」


と言う。でも心の中では



















――ごめんね。私は決意したの。
















陽たちを救う事ができたら





























自ら陽の前で消える事を――。








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⇒To Be Continued...

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