狂物語>冒頭3>包んだ黒 |
作者: ハル 2010年05月02日(日) 14時26分47秒公開 ID:m5M8TG0eh.A |
一流の生活。 温かい家族。 俺はあの男に拾われたことによって かつてない富と権力を手に入れた。 そして他の人達に付けられたあだ名は 元奴隷ということで 「野良猫」 と・・・。 元奴隷か・・・。 その事実は変わらないよな〜。 散歩とかして奴隷の奴らとか見てるけど 俺は本当に幸福だ。 この国で一番権力のある軍の一番偉い地位にいる司令官である父親。 その妻である母親。 俺は何の地位も権力も富みもなかったはずなのに・・・。 拾われてから変わってしまった。 親友を殺して元奴隷になり・・・・・・。 俺に幸せになる権利はあるのか? どんどん奴隷のときの感覚がなくなっていく。 一流の生活に慣れていってしまう。 親友を殺したときのあの感じはまだ残っているが・・・。 ――――奴隷を解放するべきだ!―――― ――――同じ人間じゃない・・・。―――― 抗議する父親。 嘆く母親。 父親は一番偉い人なのでその意見は尊重されるべきなのだが なんと、賛成する人は父親と母親だけだった。 だから結構しんどかったらしい。 時間がかかった。 そしてやっと決まろうとしたときだった。 「準備が整うまでこのことは国民には内緒にしてくれませんか?」 ある部下がそういった。 父親はそれに了承した。 「サプライズにしたいですからね。」 サプライズ バシュッッ!! 拳銃の発砲音がなる。 ドシャアッッ!!! 倒れ行く父親。 悲鳴を上げる母親。 壁の隅に取り残される俺。 もう外も暗い。 何もかもが黒かった。 闇がすべてを包んでいた。 お父さん!!!!!! タスケテ タスケテ タスケテ タスケテ タスケテ タスケテ タスケテ なんで俺の周りの奴は死んでいくんだ!!? 俺は何か太いもので貫かれている父親と母親を見た。 冷たい・・・。 冷たかった。 シンデイル そう判断した俺は 何を思ったか。 家を出ていた。 父親の形見であるイヤリングを左耳につけて・・・。 そのイヤリングは竜が彫られているものだ。 代々受け継がれているものだという。 俺は逃げてしまった。 何もかもを捨てて。 幸せだった生活を捨てて。 義理であっても両親を捨てて。 サヨウナラ |
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