狂物語>本編4>エサ
作者: ハル  [Home]   2010年05月11日(火) 22時51分08秒公開   ID:m5M8TG0eh.A



《タノミヲキイテクレ。》


確かにドールは足の音でそう言っている。

ダリアも足を鳴らし返す。


《ナニ?》


ドールはホッとしたように笑い、また足を鳴らす。


《オレノナカマ。》


《ナカマ?》


《ソウ。ツタエテホシイコトアル。》


《ダレニ?》


《アオイカミ、ナガイカミ、オンナノコ。》


ドールは青い長髪の少女を指しているようだ。


《ナニ、ツタエル?》


《オレ、イキテルコト、ツタエテホシイ。》


《ナゼ?》


《ソイツ、オレノコト、サガシテル。ダカラ、ツタエテホシイ。》


ダリアは一瞬躊躇した。

自分は利用されているのではないか?

拘束されているということは敵であるということだ。

騙されてはいけない。


試しにダリアは聞いてみた。


《ソレ、リリニ、ツタエテイイ?》


《・・・イイ。》


ドールは少し考えたがすぐに答えを返した。


ダリアはすぐにリリの元へ向かった。




その時、丁度リリが戻ってきた所だった。


「ごめんね!ドール、何も話さないから暇だったでしょ?」


「・・・いや、結構話しました。」


「えっ!?嘘・・・。」


リリは本当に驚いているようで目を見開いている。

リリはダリアを見た。


「何を話していたの?何かお願いしてた?」


「あ、何か自分の仲間の女の子に、自分が生きていることを伝えてほしいって。今もそれを聞きに来たんです。一応許可は取ったほうがいいかな?って。」


「そうね。それは隊長にも言ったほうがよさそうだわ。」


リリは歩き出す。


「着いてきて。」









隊長室にて。


「ああ!?ドールが口を利いた?何て?」


「だから今説明しました。仲間に自分の生存を伝えたいらしいです。」


「ふーん。そういうことなら別に〜。適当に頼まぁ。でも軍の情報は教えんなよ。」


適当な回答だった。


「ダリアっつったけ?」


隊長はダリアを見る。


「案内のとき、俺のこと見たろ?だから別に初めましてじゃねぇよな?俺はジル・ミティル。お前の部隊の隊長をやっている。「不真面目そう」なんて言うなよ。俺だって一生懸命なんだから。それがわかったらさっさと伝えて来い。敵をおびき出すチャンスかもしれん。」



今、敵と言った。



「やっぱり・・・敵なんですか?」


ダリアは吐き出すように言う。


「そうだ。だから捕まえてる。そうだろ?」


冷徹にジルは答える。


「そうですか・・・。」


ダリアは黙り込む。


ジルはその様子を見て、

リリにアイコンタクトを送る。

リリは察したようにダリアを連れて隊長室を出た。


取り残されたジル。


そしてジルは机に突っ伏し、眠りについた。



「また変わった奴が来た・・・。」




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