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作者: ルーク   2010年07月20日(火) 15時57分37秒公開   ID:UIAOiqYuVxY
汽車が、黒煙を吐きながら駅を出発して、10分。
埃っぽい車内で、私は早くも孤独感を味わい、ため息をついた。

せめて、見栄を張らずにじいくらいつれてくれば良かった…かな。

私の名前はエイク・モーガン。この国で「三大公爵家」と言われるモーガン家の(一応)跡取り娘だ。
現当主の、父さまの経営が軌道に乗っている、ということで家を建て替えることにした。なんだかんだで結構時間がかかるし、大変だし、その間住んでいるところがどうのこうの……といういわゆる「大人の事情」ってやつで、田舎町にある別荘に引っ越すことになった。
私の小さいころからのなじみのロレッツォじいが一緒に行く、と言ってくれたのだが。

「ううん、大丈夫だよ。じいは、父さまのそばにいて?」
と、一緒に行くことを拒んだ。


の、だけど。

この埃っぽい車内で、早速ホームシックになり始めていた。

ほんとに、大丈夫なのかな、私…。


[駅に着いたら、駅前のベンチで向こうのものが待ってくれているから、後はその人についていけばいいよ]
父さまの言葉が頭をよぎった。
「はぁ〜……」


やがて、汽車はゆっくりとリックラ駅に到達した。

…さて。モーガン家の使いの人を探さなくては。
私は新鮮な空気を胸一杯に吸い込んだ。

                  [続く]
■作者からのメッセージ
別館では初投稿です。
少々読みづらいところもあるかと思いますが、どうぞ温かい目で読んでください。

長期連載、になるかも…。

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