ジュエルプリンセス+5 黒バラの二人 〜ツンデレと無口無表情〜 | |
作者: 夏姫 みの [Home] 2010年05月02日(日) 22時31分20秒公開 ID:pKbqOpuK9mo | |
「あら、 「 私は そして図書館にて。私は旧ブラックローズ学園の生徒、 まあそんなことはどうでもいいとして、秀とは久々に話をする。まあ学園の生徒だったときは、いつも目を離しては読書だったし、そこは変わってないなとは思う。けど別学年だったし、合う回数も少ないから。 「久しぶり」 「何日振りでしょうね。……難しい本を読んでるわね。英語?」 「英語の文章の本」 秀は淡々と答える。へぇ……。まあ秀はアメリカのロス出身だから、英語の文章ばかり書かれている本でも、おかしくはないか。 「ちょっとココで待ってて。これ借りてくる」 「え、あ、うん」 私は呆然とする。いや、別に待たないってことは無いけど一応待つ。しばらくすると、秀がカウンターから戻ってきた。 「……空いてる? 時間」 「空いてるわ。私もただの散歩でココに着たし」 そう。私は暇だから散歩してた。そしてたまたま入った図書館で秀を見かけた。見かけたときは声をかけたけど。すごく真剣に立ち読みしてたわ。 「カフェでゆっくりお話しよう」 「え、ああ。はい」 思わず「はい」と言ってしまった。敬語つかっちゃったわ。いきなりのお誘いでビックリした。そして私は、秀と近くのカフェへ行く。 *** 「ご注文は?」 「カフェオレで。由梨は?」 「キャラメルマキアートでお願いします」 「はい、かしこまりました。カフェオレと、キャラメルマキアートですね。少々お待ちくださいませ」 お姉さんは営業スマイルをして、去っていった。私も暇さえあれば、ここに来てキャラメルマキアートを飲みに来る。ココのキャラメルマキアートは美味しい。図書館から歩いて3分ぐらいだから、図書館帰りで寄る人も少なくは無いわね。 「妹さんの具合はどう?」 秀には妹さんがいるらしい。でも妹さんはジュエリーチェンジという宝石の力を使いすぎて、体に大きな傷……重症を受けて死んでもおかしくない状態から、なんとか命を取り留めたという。奇跡だ。 「電話では元気な声が聞けている。もう日本に行けそう」 「それはよかったわ。日本に来るのね」 「来年の冬休みあたりには」 「まだ当分、先の話ね。秀も 「来週」 来週?! 早いわ。もう来週なのね。……そういや、夏休みも来週で終わりか。早いわね、時間って。 「そのときには、 「そう。……寂しくなるわね」 姫様とは、ジュエルプリンセスの 「秀のお父様も頑張るわね。行ったり来たりで」 「ああ。……父は世界的にも有名な医者だから、仕方が無い」 「そうなの」 秀の父は有名な医者だ。しかも、ものすごく世界的にも有名で知らない人は、いないと思うぐらいだ。それで家族……病気の妹さん除き転々としてるとのこと。 その時、注文したカフェオレとキャラメルマキアートを運んできた、お姉さんが来た。 「失礼します。ご注文のカフェオレと、キャラメルマキアートでございます」 「はい」 「では、ごゆっくりどうぞ」 女の人は去っていった。いい匂いがする。 「砂糖は?」 「いらないわ。これだけで十分甘いし」 「そう」 秀は少しだけ砂糖を入れた。なんか意外だ。 「ブラックローズ学園はどう? 学園長は?」 「夏休み明けに新しい学園長が就任してくる予定よ。今まで女の学園長だから、きっとまた女の学園長でしょうね」 「へぇ」 私はキャラメルマキアートを飲んでから言う。秀もカフェオレを飲む。 「あ。ロスに行くんだったら、どうするの?」 「どうするって?」 「姫様に……」 「ああ、その話」 これは私と秀にしか知らない事。……実は秀は姫様に思いを寄せていた。私は本人が言う前に知ってたわ、もう行動とか顔からしてわかる。 「告白をするの? しないの?」 「するつもりではいる」 「やるわね、秀も」 「別に」 無口無表情の秀が女の子に好意を抱く、なんて私には想像つかなかった。最初はね。でも秀もちゃんとした人間だし、好意を抱くのは当たり前か。なんだか嬉しい。 私はキャラメルマキアートをゆっくりと飲む。 「由梨はいない?」 「えっ?」 「好きな人とか」 思わずキャラメルマキアートでムセるかと思った。 「い、いるわよ。そっ、そりゃあ私だって恋する年頃だし」 「そう」 秀はカフェオレを飲む。 「……でも、秀には昔から叶わないわ」 「え?」 「テンポについていけない、って言うことかしら」 本当に昔から秀についていけない自分がいる。置いてけぼりにされる自分が時々いる。なんだか、そんな自分が悔しい。 私はキャラメルマキアートがちょうどいい温度になったから、最後まで飲み干した。秀も最後まで飲み干したらしい。 「昔の私たちじゃないわよね。今の私たちって」 「もちろん」 「そっか」 その分、変わったってことか。私も秀も。 でももう少しだけ、このままでいたい気持ちもある。 けど自身もって変わらないといけない。 ……私も頑張らないと。そして変わらないと。 「行く?」 「ええ。なんか少しだけ吹っ切れた」 「何が?」 「昔の自分と、置いてけぼりにされている自分に」 「……そう」 ――頑張れ、秀。そしてまた冬に会いましょう。 Fin ⇒To Be Continued... |
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