ring-a-ring \
作者: ルーク   2010年08月26日(木) 15時10分24秒公開   ID:UIAOiqYuVxY
「もう少しだから…!頼む、我慢してくれよ!!」
「嫌だ!何が何でも嫌だ!」
「なんでだよっ」
「絶対無理ッ」

俺とエイクはちょっともめている。
だって、

「なんでスカート丈を長くする必要があるの!?」
「だぁかぁらぁ、15歳の年頃の女の子がそんなに短いスカートはくのはよくないって言ってるだろ。ただでさえお前は公爵家の人なんだから!」

そう。エイクの新しい普段着のスカート丈について、だ。
「やだ、これから夏だし、暑いし、まとわりつくんだもん。長い裾なんてパーティードレスで充分っ」
エイクがプイッとそっぽを向いてしまった。

エイクが短い丈のほうが好きなのは知っている。似合うのも知っている。
だけど……。


(同じ部屋にいる俺の気持ちにもなってほしいもんだ)


同じ部屋で、女がひざの見えるスカートはいてたらこっちはどうも大変なんだよ…。
お前はわからないかもしれないけど。毎日ある意味格闘してるんだ、俺は。

……ともいえず。

「きっと長いのも似合うって。一着だけでもいいから、な?」
「やーだぁー」
エイクは拗ねてそっぽを向いたままだ。

「レイルは、短いスカート嫌いなの?」
ちらりとこっちを横眼で見ながら尋ねられる。

……と言われましても。

「嫌いっていうか、その……エイクに似合うのは知ってるんだけど、なんていうかな……」
言葉選びに結構時間がかかって自分でも情けないほどしどろもどろになってしまった。

「知ってるんだけど、何?」
エイクがそっぽ向いたまま先を促す。

えぇい、こうなったらもうやけくそだっ。

「俺も男なんだっ。…少しはこっちの身にもなってくれよ」
「え…っ」

エイクがあわてたようにこっちを振り向いた。
はじめのうち、わけがわからないようにぽかんとこっちを見ていたが、やがて意味を理解したのかみるみるうちに顔を真っ赤にさせた。

「……!」
「…やっぱ、だめ?」
エイクのきれいな瞳を見ながら尋ねると、くすぐったそうに彼女はまたそっぽを向いた。
誕生日パーティーの時にあげた赤いリボンがふわりと揺れる。
あの日からも毎日つけてくれていて、結構嬉しかったりする。もちろん俺も毎日赤いリボンをつけているのだけど。

「…っ、そんな目で、そんな風に言われて断る女の子なんていないでしょ…。
 いいよ、ひざ下ぎりぎりなら丈長くしても」

そういって振り返ったエイクの顔はちょっと照れていて、それなのにどこか嬉しそうだった。

「じゃ、決定。
 ―俺の勝ちね」

「なっ…。誰も負けてなんか…」
「その台詞言った時点でエイクの負けだよ」
そういうと、エイクの顔はまた一段と赤くなった。


夏は、もうすぐ来るかな。
              [続く]
■作者からのメッセージ
今回はツンデレエイクだった様な……。
ツンデレイルはいつ来るのかな?(今日はちょいSレイルだった気がする…)

困ったものです(-_-メ)

1作から読んでくださっている読者のみなさん、本当にありがとうございます!
そしてこれからもルークをどうぞ温かい目で見守っていてください。
毎回読んでくださる読者様が一人でも多くいらっしゃるとうれしいなぁ…(=^・^=)

では。

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