オレ×俺、僕×私。 〜Y、N、S。一瞬M〜 |
作者: 原田悠浩 2010年09月19日(日) 20時28分49秒公開 ID:rCPKsfrr8dY |
…遅い。遅すぎる。オレはイライラと靴を鳴らした。 高校入学3日目、今日から昼食が始まった。 オレは真綾と屋上で落ち合って一緒に食べる約束をしていた。 真綾との約束の時間から、既に10分が経過していた。あの子は時間に細かい。 オレが遅刻することはあっても、あの子が遅刻することなんて、滅多にない。 ………迷子になったりしなければの話だが。 「迎えに行くか。」 オレがそう決意してドアに向かって一歩を踏み出すのと、 目の前の鉄製のドアが軽々と外れ ぶっ飛び、 ドアと男が1人もつれ合いオレの足元に転がってくるのはほぼ同時だった。 とんできた男が頭を押さえて目をあける。 「いったぁ…凪紗くんの馬鹿力…ってぁ、白だ。」 … 足を振り上げ、男の急所へと狙いを定める。 だが足を下ろす前に、邪魔が入った。 「そいつは俺が 声のした方へと視線を向けると、 ドアの外れた入り口に整った顔つきの細身の男が1人。 コイツがドアを飛ばしたのか? その細っこい体のいったいどこからそんな力が出てくるのか。 不思議に思ったが、すぐにそんな考えはオレの脳内から消え去った。 細身の男の後ろに、頬から血を流し、 呆然とへたりこんでいる真綾の姿が目に入ったから。 オレの足は動き出す。真綾へと。 ドアの前に障害あり。 平気だ、飛び越えろ。 脳よりも、神経が先に動く。 真綾…! 奴をドアごとぶっ飛ばし、その動きを追って視線を動かすと、 奴を見下ろす女が1人いた。 何を思ったのか知らないが、その女は奴の急所めがけて足を振り上げた。 「そいつは俺が 気づかぬ間に口から漏れていたこの言葉。 彼女の綺麗な足がそんなところに触れたら一瞬で穢れてしまう。 そんな思いが込み上げてきた。 …オレはどうしたんだ。 彼女から、目が…離せない。 彼女は俺へと視線をうつし、目を見開いた。 次の瞬間、彼女はその場から消えていた。 いや、正しくは俺の上を飛び越えていた。 何が起きたのか俺が理解できたのは、後頭部を勢いよく蹴られた瞬間だった。 いきなりの出来事に俺は意識が遠退く。 …あぁ、今日は災難だな。 女に油断した俺の自業自得なのか…? 俺は意識を手放した。 |
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