ring-a-ring 12 |
作者: ルーク 2010年09月27日(月) 13時19分48秒公開 ID:UIAOiqYuVxY |
叔父さまと、父さまがずっと部屋でしゃべっている。 いつもなら、レイルがいるから退屈しないんだけど、正直、暇だ。 レイルまで、ロレッツォじいのところにいる。 「あぁぁぁ〜、暇っ!!」 叫びながらベッドにダイヴしてみても、笑ってくれる人がいない。 なにしてんだよってあきれてくれる人もいない。 今、もしかして、私…。 さびしいのかな。 「もう、早く帰ってきてよ、レイル〜!!」 こんなに暇なご主人を放っておいてなにしてるのよ〜…。 〜*〜 「レイル、といったかな、少年。大変じゃないか、エイクお嬢様のお世話は」 いきなり尋ねられた。厳しい表情のロレッツォさんにちょっとだけ面食らう。 「え、ええと…」 ついしどろもどろになってしまった俺に、ロレッツォさんは柔和にほほ笑んだ。 「いいんだよ、私もかなりお嬢様には振り回されたからな」 「…結構振り回されてます。だけど、そのおかげかな、俺自身、すごく充実してて、楽しいです」 「そうか。 だけどな、レイル君、これだけはよく覚えていてほしい」 そういったロレッツォさんの表情はまた引き締まっていた。 「使用人は、所詮使用人なんだ。お嬢様と対等に接することができても、自分の身分だけはわきまえておきなさい」 「……!」 「わかったかい」 ロレッツォさんの灰色の瞳は、俺の心―エイクに対する俺の気持ち、あの指輪のことを、すべて見透かしているようだった。 自分の身分…………。 「はい、わかりました」 俺は、そう答えるよりほかなかった。 「あーっ、レイル、やっと帰ってきた!」 部屋に戻ると、何も知るはずのないエイクが無邪気に頬を膨らませていた。 「ずーっと暇だったんだからぁ!」 「ごめんごめん」 謝ると、エイクは不思議そうな顔をして俺を見つめてきた。 「な、なんだよ」 「なにかあったの?」 「どうして?」 「なんか、変だよ。哀しそうな、怖そうな、……なんか変な顔してる」 エイクは、[怖そうな]の後、何を呑み込んだのだろうか。 それが、「なにかをあきらめたような」だった、ということを、俺は知らない。 「うーん、……大丈夫だよ」 ロレッツォさんの言葉と、エイクの言葉が頭の中を離れなくて、結局俺はそれしか言うことができなかった。 [続く] |
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