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作者: ルーク 2010年09月30日(木) 17時01分43秒公開 ID:UIAOiqYuVxY |
「学校…ですか」 ああ、と旦那さまはうなずいた。 「家庭教師でも悪くはないんだが、やっぱり同年代の子供たちとの交流を学ぶのも大事なことだろう? そのうちエイクにはモーガン家を背負わなくてはならない時が来るしな」 この知らせを聞いたエイクの満面の笑みが目に浮かんだ。 とはいってもここは旦那様の私室。まだ教えるにはもう少し時間がたたないといけないのだが。 「ところで、レイル。お前は今年いくつだったか?」 「あ、もうすぐ16になります。お嬢様とは一学年上です」 そうか、と少しだけ考えこんでから、旦那様はこう言った。 「なら、一つ年をごまかしてもらってもいいか? お前は大事な付き人だから、同じクラスメイトとしてそばにいてやってほしいんだ」 大丈夫か、と聞かれて、俺はうなずいた。 「はい、その旨しっかりお嬢様に伝えてまいります」 「ああ、よろしくな」 「学校!!!?」 俺の想像通り、エイクは目をキラキラ輝かせて、満面の笑みを浮かべた。 「ああ。この町にあるキットリー学園に9月から通うことになるんだって」 そう、と彼女は一息ついてから、急に心配そうに俺を見つめた。 「レイルも、来るんだよね?」 「もちろん。旦那様に、一つ年をごまかすように言われたから同じクラスなんだって」 それを聞いて、かなりエイクは安心した様子だった。 「よかったぁ。私ひとりじゃ心細いもん。 父さまと叔父さまが話していたのって、そのことだったんだね!」 「うん、そうみたいだな」 「9月かぁ…」 「あと3週間だな」 俺たちは、外の晴れ渡る空を見上げながら笑った。 [続く] |
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