オレ×俺、僕×私。〜Yは不機嫌。Nの心は躍る(?)〜 |
作者: 原田悠浩 2010年10月03日(日) 20時36分48秒公開 ID:qxJVYUXwFqI |
何でこんなことになってんだ。 高校生活初の昼飯。 真綾と屋上に集合して、二人で食べるはずだったのに。 「ゆーちゃーん、ピーマン食べてぇ。」 「あ、夕美ちゃんずっるい!私も嫌なのに! 悠ちゃん、私のも食べて?」 「僕が食べてあげようか?」 「けっこーですよーだ。」 「翔汰君、私の食べる?」 「真綾、自分で食べなさい。 夕美もこそこそオレの弁当箱にピーマン輸送しない! 気づいてるからな!翔汰?はニヤニヤすんな!」 …何でこいつらのおもりしてるんだ…。 はぁ、と盛大なため息をつくが、 盛り上がっている三人は気付かなかったらしい。 気付かれなかった事は幸い、否、不幸か。 なんだかな…今日は厄日なのかもしれんな。 あ゛ーイライラする。 何が一番気に入らないかって? 男嫌いのはずの真綾が翔汰に笑いかけて喋ってることだよ! 「あーはらたつ!」 「う…?」 もんもんと一人で考えていると、膝の上の奴が顔をしかめた。 「お?気がついたか?」 「………。」 えーっと、名前、名前…っと、何だっけ。たしか、 「こん…こん…こん、」 「キツネのモノマネか?」 「ちがっ!お前の名前を思い出そうとしてたんだよ! くっそー、思い出せねぇ!」 「紺野凪紗」 「そーだ、紺野だ!オレは、大野悠。 悪かった、頭けって。ちょっと勘違いしてたんだよ。」 「いや…。」 「ま、命に別状がなさそうでよかったよ。」 わたしは、冗談半分で笑いながら答えた。 きっと満面の笑みを浮かべているだろう。 真綾を更に怒らせる事態にならなくて良かった。 安心感からか、さっきは蹴っ飛ばしてしまった頭をなでた。 「命に別状なさそうでよかった。」 そう言って、彼女は俺の頭をなでた。 その手が、あまりにも優しくて。 彼女の笑みが、美しすぎて。 「…やべぇ、惚れたかも。」 「あ?なんか言ったか?あいつらがうるさくて聞こえやしねぇヤ。」 「いや、他愛ない独り言だ、気にしないでくれ。」 「そうか。」 聞こえてなくてよかった。周りがうるさいことに、感謝だ。 …ん?あいつらって、誰だ。 そういえばここは屋上だよな。 今膝枕をしてくれている彼女に蹴飛ばされて、俺は意識を飛ばした。 そこまでははっきりと覚えているが、 意識を飛ばしている間に何がどうなって、 俺は今膝枕をしてもらっているのか。 それが気にな…まてよ、 膝枕…って俺今すごくおいしい状況じゃないか? 「翔汰!こ、、、こんの?目ぇ覚ましたぞ!」 翔汰という名に、記憶がない。 俺が脳内検索をかけていると、ムカつくヒラメ顔が視界に入ってきた。 「目、やっと覚めたんだ。話し合いの続き、しようよ。」 上等だ、と少し膝枕に後ろ髪をひかれつつ 頭を上げようとしたが、上がらない。 俺が戸惑っている間に、視界が開けた。 ヒラメが視界から消えたのは、 誰かに後ろ首を捕まれて引き離されたらしい。 「ごめんっ、ごめんってー!」と、情けない声が聞こえてくる。 開いた空間に再び影が差した。 今度は美少女だった。 彼女とは、部類の違う美しさ…いや、可愛さ、だろうか。 彼女を美しいと評すならば、目の前にある顔を評すのは可愛いだ。 「初めまして、紺野君。私、松本真綾っていいます。 同じクラスなんだけど覚えてる? 私、人の名前覚えるの苦手で、、、覚えてなかった、ごめん!」 「あ、いや、俺も今知ったから、別にいいよ。」 というか、入学三日でクラスの奴ら全部覚えてたら怖いだろ、逆に。 「そっか!話は移るんだけど、紺野君、 悠ちゃんに蹴られる前までの事とかも、覚えてる?」 「覚えてるよ。昼の時間に、ヒラメ顔に話しかけられて、 俺が屋上につれだしたんだ。」 「よかった、おぼえてて。悠ちゃん、ちゃんと謝った?」 「謝ってくれた。何を誤解してたのかは、知らないがな。」 「あー、それはごめんね。紺野君が蹴られた責任は私にもあるの。 私が、紺野君の後ろでこけてたせいで 紺野君が私を階段から突き落としたと思ったみたいなの。」 「ちゃんとオレ、謝ったぞ!?真綾!」 「今聞いたよ。謝って、えらい偉い。」 真綾と呼ばれる少女が、彼女の頭をなでる。 それを、満面の笑みで受け止めて、 心から嬉しそうな子をして受け止める彼女。 なんなんだ。 この奇妙な空気は。 あれか、いわゆる、 「レズなのか?」 俺の一言で、屋上は笑いに包まれた。 |
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