江戸組っ!第二章 #4 いたずら
作者: ちびハチ公   2010年11月15日(月) 19時39分45秒公開   ID:MRiX6gH5OZ6
 翌朝。
 姉貴は朝っぱらから何かしている。ドライバーを持ってるから何かを改造しているんだろう。だけど、朝食のことを忘れてまでドライバーを握っているのはおかしい。
 「姉貴。朝食、出来てるぞ」
 反応無し。
 「姉貴」
 再び反応無し。
 俺は試しに軽く頭を殴ってみた。その次の瞬間、俺は声が出なかった。
 ボン、という音と、煙と共に消えたのだ。
 その次に、二人の女の悲鳴が聞こえた。
 「どうしたんだよ、ヒカリ」
「クレアさんもどうしたんですか?」
「だ、だって・・・肩たたかれて後ろ向いたら誰もいないし・・・」
「良さんのために置いておいた朝食も消えてるんです・・・」
俺は姉貴の朝食をよそってあったはずの皿が置いてあったテーブルを見た。無い。
 と、突然俺以外の全員の顔が青ざめた。
 「お前ら、どうしたんだよ」
「だって、シンジ・・・・。後ろ・・・・」
「どうせ振り返ったって何もいないだろ。だったら・・・」
「そんなに信じられないなら自分で後ろ向いてよ!」
ヒカリが悲鳴を上げるように叫んだ。俺は仕方なく振り向いた。
 カタカタカタカタ。
俺の真後ろに骸骨が一体。そして、真横に一つ目小僧二体。
 「うわー!」
俺を含めた5人は喉がつぶれるぐらいの大声で叫んだ。
 ヒカリのポッチャマが妖怪に対して攻撃した。
 すると、先程俺が姉貴の分身を殴った後のように全て煙を起こして消えた。
 その直後、沈黙を切り裂いたのは不気味でもなんでもない笑い声だった。俺はすぐにどこが音源か分かった。ドンカラスをモンスターボールから出し、つじぎりを命じた。
しばらくは木の枝を切っているだけだったが、ある場所で何かが木の枝と同時に落ちた音がした。その音源を捜すとそこには、姉貴がいた。
「ばれちった」
そう言うと、舌をチラリと見せた。
(・・・俺はいつからこんなにだまされ易くなったんだか)
今までは何事も冷静に見てきたが、今日は何故か冷静になれなかった。
 「今日の怪奇現象、全部姉貴だよな」
「ごめん。暇で体が動けなくなる気がして」
「そういえば、今日のシンジ、嫌に単純だったな。大丈夫か?」タケシが俺に尋ねた。
「あ・・・。それも俺。シンジの反応がいつもつまらないので、精神状態を少しいじらせてもらいましたぁ」
 俺が騙され易くなったんじゃなくて姉貴にいじられただけだったのか。
 安心したのは一瞬。これからも精神状態をいじられるのかと思うと背筋が凍る。こんな恐怖を感じたのは初めてだ。
 ここで一つ説明しておく。俺が気づいた中で姉貴には一つ、危険で独特な習性がある。それが、今日の怪奇現象とつながる。それは、暇になるとガキ以上のいたずらをする。
 姉貴にとっての「暇」は誰も未だに分からない。だからいつ今日のような怪奇現象が起こっても不思議ではない。
 「あ、クレアさん。ポケモン達の治療、全部完了しました。報告するの、忘れてました」
十秒前のいたずらが無かったかのように、クレアに気安く話しかける姉貴。
「あ、そうですか。やっぱり良さん、すごいです」
クレアはさっきまでの姉貴を怖がるような表情を一変させて笑顔を見せた。
 「ありがとうございます。そう言っていただけると光栄です」
ペコリと頭を下げる姉貴。さっきまでのガキのような姉貴とは違うオーラがあった。


 そして今はクレアと別れて、別の町を歩いてる。
 と、突然姉貴の足がぴたりと止まった。
 「どうしたの?何かあった?」ヒカリが姉貴に尋ねた。
「みんな・・・。ゴメン。この状況マジやばいかもしんねえ」
 姉貴が言い終えたのと同時に、誰かが後ろから追いかける足音がした。
 「あちらにいるのがあの噂のリョウさんだと思われます。少し尋ねてみます」
 追いかけてきたのは、テレビのレポーターだった。
 「あなたのお名前、訊かせていただけますか?」
「・・・リョウです。きっと長いお話になると思いますから、何処かゆっくり出来る所へ行きましょう」
 姉貴は詰め寄られてもいつもの冷静な態度だった。
■作者からのメッセージ
シンジはこういうの、叫んで驚くのか迷いましたが・・・。結局キャラ壊しました。まあ、キャラが壊れてたのではなく、良にコントロールされてしまったという事になりましたが。(訳分からん)

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