江戸組っ!第一章 #4 誘拐 |
作者: ちびハチ公 2010年07月26日(月) 19時51分47秒公開 ID:MRiX6gH5OZ6 |
「やっと起きたか。おはよ、シンジ」 女の声がした。目を開けると、硯の横に黒髪の女がいた。意味もなくニコニコと笑っている。この女はそんな奴じゃないはずだが。 「お前、昨日寝てないのか?」 俺はなんとなくそれが思い当たった。すると、女はこう言った。 「当然!満月の夜の夜更かしは最高だぜ♪」 どこが当然なのか、全く分からない。と、突然女が立ち上がった。すると、さっきまで硯の上にいたムックルが翼を広げて女の腕に向かっていった。女はそれを察知したのか、腕を床と垂直にあげ、ムックルを乗せた。 会ってから半日ほどしか経っていないはずだが、息が合っていると言っても過言ではない。ポケモンと息を合わせるなんて、くだらないと思うが。 「さて、朝食でもいただきま」 「宮元良!さっさと出てこい!」 ついに、奴らが来たのだ。 女は少し慌てた様子だったが、すぐに無線機らしきものを俺に渡した。俺はその無線機らしきものを浴衣の帯に引っ掛けた。何のために渡されたかは分からなかったが。 「いたぞ!」 ついに、俺達は武士に囲まれた。ここには出入り口が一つしかない。窓もない。どうする、『姉貴』。 すると、『姉貴』は二本の刀を出した。 「雷刃(ライハ)覚醒!」 『姉貴』がそう叫ぶと、刀の先から電光が走り、俺達を囲んでいた武士達全員を感電させた。 「ボケッとしてねェで行くぞ!」 俺と『姉貴』は階段を駆け下りた。 外にも奴らがいた。と、突然『姉貴』は障子を勢い良く閉めた。 「『姉貴』?!」 俺は力いっぱい開けようとした。ここに鍵が無い事自体知っていたからな。だが、障子は鍵がかかったように開かなかった。 刀が何かとぶつかる音がする。 「さあ、化け物達!やっちまえ!」 その声と共に、炎やはっぱカッター、大量の水が『姉貴』を攻撃するのが勘で分かった。 「あんまりやりすぎるなよ!このお方は殿の右腕にもなるお方だからな!」 『姉貴』が障子にぶつかる事もあった。が、障子は一向に開く様子がない。まさか、『姉貴』が狼の力とやらを使っているのだろうか。 と、突然障子が開くようになった。その向こうにはアリアドスとライチュウ二匹、そしてアリアドスの糸で体の自由を奪われた『姉貴』だった。 「やっとか。まあ、いいだろう。今からでもいい見せしめになる」 武士達は勝ち誇ったようだった。と、突然『姉貴』が細々とした声で言った。 「シンジ達には手ェ出すな・・・。」 傷だらけの『姉貴』はそう言うと、武士達を睨んだ。 「まだ懲りないのか。化け物ども!最後の一発、食らわしてやれ!」 その声を聞いて、待ってましたとばかりに二匹のライチュウが空に飛び上がった。 「ラーイーッ!」 二匹のライチュウが繰り出したのは、かみなりだった。二匹分食らったら、いくら『姉貴』でもたまったもんじゃない。 「だあああああああ!」 その叫び声は消え、『姉貴』はがっくりと気を失った。 「随分根性があるな。さすが殿方の求めるお方だな」 「これで化け物達も一層扱いやすくなるな!」 武士達の笑い声と共に、アリアドスのテレポートで武士達と『姉貴』は何処かへ消えてしまった。 |
|
■一覧に戻る ■感想を見る ■削除・編集 |