ring-a-ring 15 |
作者: ルーク 2011年01月02日(日) 13時20分49秒公開 ID:gDpB60zr1as |
「あれ、職員室ってどこだっけ…」 「え゛。迷っちゃったのぉ!?私も知らないよ!」 あれー、おっかしぃなー、と横でレイルが周りをきょろきょろ。 どうしよう。この学校、迷路みたいで…、その、私たち。 迷子になっちゃったみたい…。 「だからさっき誰かに声かけようかって言ったのに」 この学校に今日転入してきた私たち2人はもちろん職員室の場所なんかもわかるはずがない。だから誰か呼びとめて話を聞こうと思ったのに、レイルったら 「いいよ、俺が見つけるから」 なんて強がっちゃって。もう、こんなんじゃお先真っ暗ね。 と、そのとき。 「誰?あなたたち、見かけない顔ね」 と凛とした声で呼びとめられた。恐る恐る振り向くと、そこには栗色のくせ毛をもった女の子が立っていた。 スッとした目鼻立ちをしていて、しかも凛とした声だったからかそれがちょっと怖そうな人だな、と思わせる要因の一つだった。 「えっと、ちょっと迷っちゃって…」 「あぁ、リッツ………じゃない、ノルモント先生が朝からバタバタしてた原因は転入生のあなたたちなわけね。名前は?」 彼女は凛とした顔をほころばせた。あ、かわいらしい顔立ちだな。 「えっと、私はエイク。エイク・モーガン。こっちがレイル・……?」 あれ、そういえば、レイルの苗字って何だっけ。忘れちゃった。あ、違う。昔から聞いたことない。 あー、えーっと、何だろ、どういう名前で転入したんだろ。 困っていると、横からレイルが見かねてこう言った。 「レイル・ギャントです。よろしく」 「そう。私はミッツ・ノルモント。15歳よ。7年生。よろしくね」 にっこりと笑ったノルモントさんは手を差し出してきた。私はその手をぎゅっと握る。 「ま、奇遇。私たちも7年生に入るの」 「ほんと!7年生は1クラスしかないから、私たちクラスメイトね!」 女の子2人できゃぁきゃぁはしゃいでいると、横からレイルが 「すみません、職員室ってどこにあるかわかりますか?俺たち迷っちゃってて…」 ああ、とノルモントさんは楽しそうに笑った。 「いいわ、案内してあげる。ここって迷路みたいでわかりにくいでしょ」 「わ、ありがとうノルモントさん!」 頭を下げると、ノルモントさんは首を横に振った。 「ノルモントさんだなんてかたい言い方しなくてもいいよ。ミッツって呼び捨てにしてちょうだいよ」 「いいの?私もエイクでいいよ。私たち、いい友達になれそうね!」 そうね、と笑ったミッツは先に立って歩き始めた。 〜*〜 「君たちが転入生のエイク・モーガン君とレイル・ギャント君だね。僕は7年生の担任のリッツ・ノルモント」 ん?ノルモント…? と名乗った彼は、栗色のくせ毛、青い瞳。ん?違うような気もするけど、ちょっと似てる。 あれ、じゃあやっぱり…? レイルも同じことを思ったのか、彼と彼女を見比べている。 見かねた彼女が笑いだした。 「ご明察!そうだよ、私とリッツは実の兄妹」 「あ、こら!学校でむやみやたらと俺たちのことを公表すんな馬鹿!」 「え、でもそっくりじゃないですか」 と口をはさんだのはレイル。 しかしノルモント先生は苦そうな顔で笑った。 「いや、あんまり似てないと思うよ。君たちは観察眼が鋭いね。 頼む、面倒な事にはしたくないから、あんまり僕たちのことを公表しないでもらえるかな」 「はい」 「わかりました」 お前も余計なこと言うなよ、とノルモント先生はミッツにも釘をさした。 その時、2回鐘が鳴った。 「あ、ほら予鈴だ。ミッツ、お前は教室に帰れ」 ほらほら、と追い払うようにノルモント先生はミッツの背中を押した。 「はいはい、リッツ。今行きますよーだ」 「こら!ふざけるんじゃない!」 「キャー、ノルモント先生が起こったぁ☆」 「“☆”じゃねぇ!」 この兄妹、仲いいんだな、そう思った。だって声は怒ってるノルモント先生の表情はすごく優しいんだもん。 「な、エイク」 「ん?」 「あ、いや、兄弟っていいなーと思って」 レイルが同じように彼らを見てつぶやいた。 「うん、そうだね」 「はい、じゃぁ行くよ」 「「はいっ」」 うん、初日から楽しそうだなぁ、学校♪ [続く] |
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